2010 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカイト酸化物固溶体におけるマイクロ-ナノ構造変調とマイクロ波誘電性の相関
Project/Area Number |
21560702
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹本 稔 神奈川工科大学, 工学部, 准教授 (70288215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 裕美 豊橋技術科学大学, 研究基盤センター, 准教授 (00319500)
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Keywords | 誘電体物性 / セラミックス / 移動体通信 / イオン結晶 / 格子欠陥 |
Research Abstract |
調合組成が(Ba_<1-x>Ca_x)(Sc_<1/2>Nb_<1/2>O_3であるペロブスカイト固溶系について、次の1および2の成果を得た。 1 結晶構造解析 焼結後、通常の冷却を行って得た試料について、電子線回折法、およびシンクロトロン放射光を利用したX線回折法を併用し、x=0、0.3、0.5、0.8の試料の結晶構造解析を行った。x=0と0.3ではBO_6八面体のチルトはなく、空間群Fm3^^-mの立方晶と解析された。βサイトイオンの平均の規則配列度は前者では52%、後者では77%であった。x=0.5では人面体がa^0b^+c^-と表記される様式でチルトしており、空間群C2/cの単斜晶、x=0.8ではa^+b^-c^-の様式でさらにチルトした空間群P2_1/nの単斜晶と解析された。本固溶系はx=0.25で比誘電率が最大となる。0.25≦x≦1の比誘電率の増加は規則配列の進行が関係していると推測できなくもないが、下記(2)に示す結果から、むしろrattlingを起こすCa^<2+>イオンの増加によるものと考えている。また、0.25≦x≦1の比誘電率の減少はB0_6八面体のチルトの進行が関係していると考えられる。 2 焼結後、急冷した試料のマイクロ波誘電性 x=0、0.4、0.8、1の試料について作製した。x=0.4および0.8では通常の冷却を行った試料と比較して、Bサイトイオンの規則配列に由来するX線回折ピークが顕著なブロードニングを起こしていた。比誘電率はそれぞれ38.8(38.2)、54.2(49.2)、39.2(35.4)、28.3(31.3)と測定された(括弧内数字は通常の冷却により作製した試料の測定値)。x=0.4と0.8の急冷による比誘電率の増加を理解するには、チルトの有無など、詳細な結晶構造解析が必要であると考えている。
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