2011 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカイト酸化物固溶体におけるマイクロ-ナノ構造変調とマイクロ波誘電性の相関
Project/Area Number |
21560702
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹本 稔 神奈川工科大学, 工学部, 准教授 (70288215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 裕美 豊橋技術科学大学, 研究基盤センター, 准教授 (00319500)
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Keywords | 誘電体物性 / セラミックス / 移動体通信 / イオン結晶 / 格子欠陥 |
Research Abstract |
Bサイトイオンの規則配列度やBO_6八面体のチルト様式の変調が誘発され、それに伴うマイクロ波誘電性の変化を期待して、調合組成が(Ba_<1-x>Ca_x)(Sc_<1/2>Nb_<1/2>)O_3(0≦x≦1、xは0.05間隔)のセラミックス試料を焼結後、炉冷による急冷(1700℃~1600℃の平均降温速度:毎分50℃)を行って作製した。XRD、ラマン分光、マイクロ波誘電性の測定を行い、従来の焼結後毎分5℃ないし10℃で冷却して作製した試料と比較した。急冷しても規則配列度やチルト様式の変調は見られず、比誘電率、Qf、TCfの調合組成変化は従来の試料とほぼ同様であった。なお、0≦x≦0.1の範囲でQfは顕著な減少を示しており、Nbイオンの還元に由来すると考えられる。 マイクロ波誘電性を改善すべく、Mnの導入を検討した。調合組成がBa((Sc_<1/2>Nb_<1/2>)_<1-y>Mn_y)O_3(x=0;y=0,0.002,0.004,0.006)のセラミックス試料を、同じく焼結後急冷して作製し、マイクロ波誘電性の変化を調べ、また、光吸収や蛍光測定によってMnの状態を調べた。比誘電率はy=0のとき36.70(8)でy=0.002で34.39(6)に急減し、それ以上のyではあまり変化せず、y=0.06では34.30(8)であった。Qfはy=0のとき3.3(3)THzでyの増加とともに単調に増加し、y=0.006では8.2(1)THzまで改善された。TCfとyとにはあまり相関がみられず、y=0で85(1)×10^<-6>K^<-1>、y=0.006で79.8(2)×10^<-6>K^<-1>であった。いずれの試料も蛍光は観測されなかったが、光吸収からMn^<4+>の存在が確認された。Mn^<4+>の生成によりNbイオンの還元が抑制され、特にQfが改善されたものと考えている。
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