2011 Fiscal Year Annual Research Report
界面活性剤の自己組織化を用いた機能性複合ゲルの創製
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21560713
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鴇田 昌之 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80163963)
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Keywords | 高分子ゲル / 界面活性剤 / 相転移 / 形態形成 / 一次元拡散-反応系 / 等価相図 / 共焦点検鏡法 / ドラッグデリバリー |
Research Abstract |
本研究では界面活性剤の自己組織化現象をゲルの高分子網目の内部で生じさせることが重要なポイントとなる。よく知られているように,ゲルも界面活性剤も共に相転移現象を示す系である.従って,これらの相転移の協力現象を解明し,両者の共存した系での自己組織化を制御する必要がある.そこで,第一段階として,高分子ゲルと界面活性剤,おのおの独立した系の相図を明らかにした.この研究により,これまでに不明確だった界面活性剤の相図が,2成分液体の相転移と同様に記述できることが明らかとなった.高分子ゲル系にあっては,ゾル-ゲル転移と高分子の相分離がカップリングしていることを見いだした.また,高分子溶液を一次元拡散-反応系でゲル化させる過程において,得られたゲルが巨視的な形態を形成する現象を見いだした.このような,ゲルの形態形成は従来知られていなかった現象である.現在この形態形成現象は,高分子溶液の「等価相図」の概念を用いて説明することが可能であることを明らかにした.しかしながら,さらに詳細な物理的な解析が望まれる. 第二に,界面活性剤を高分子ゲルに導入することを試みた.種々の濃度の界面活性剤を含む溶液でゲルを形成した結果,常温では透明なゲルが形成される条件下にあっても,得られたゲルが白濁する現象を見いだした.このことは,界面活性剤を高分子網目のような「狭い空間」に導入することにより,界面活性剤の相分離温度が低温側に大きくシフトすることを示している.このようなゲルの共焦点顕微鏡観察を行った.共焦点検鏡法により,これらのゲルの内部では,本体分子分散している条件下であっても,界面活性剤が非常に大きな会合体を形成していることを見いだした. このような現象により形成された高分子ゲル-界面活性剤複合ゲルは,ドラッグデリバリーなどに利用できる.また,ここでゲルの形態形成を利用することができれば,極めて応用範囲の広い機能性ゲルを創製できる可能性が開けるものと期待できる。
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Research Products
(7 results)