2009 Fiscal Year Annual Research Report
柔粘性結晶モデルによる金属ガラスの局所原子構造の解明と新規バルク金属ガラスの創製
Project/Area Number |
21560715
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹内 章 Tohoku University, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (40250815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 嘉彦 金属材料研究所, 准教授 (00261511)
湯蓋 邦夫 金属材料研究所, 助教 (00302208)
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Keywords | 柔粘性結晶 / 分子動力学シミュレーション / 金属ガラス / 局所原子構造 / 黄金分割 / パーコレーション / 粘性 / ガーネット構造 |
Research Abstract |
本年度は、分子の配向に関して不規則状態にある柔粘性結晶の特徴を利用した分子動力学シミュレーションを実行して、バルク金属ガラスの合金組成と局所原子構造を解明する研究を行った。その結果、バルク金属ガラスの理想的な局所原子構造として、例えば13個の原子を含む20面体クラスターと5個の原子を含む4面体クラスターから成る複数クラスター群が稠密充填構造を保ちつつ、臨界パーコレーションした構造である可能性を示唆した。この可能性を検証するために、Cu-ZrおよびZr-Al-Ni合金に対して柔粘性結晶モデルによる分子動力学シミュレーションを行った。その結果、Cu-ZrおよびZr-Al-Niバルク金属ガラスが高いガラス形成能を有する理由として、Cu-ZrおよびZr-Al-Niバルク金属ガラスが稠密無秩序充填構造の臨界サイトパーコレーション濃度である0.27の体積分率を有する可能性が示された。すなわち、Cu-ZrおよびZr-Al-Niバルク金属ガラスの局所原子構造は、臨界パーコレーション濃度の稠密クラスター充填で表現されることが明らかになった。さらに、Zr-Al-Ni-Cu合金については、ガーネット構造のイオン配置を参考として柔粘性結晶モデルに基づく分子動力学シミュレーションを実行した。その結果、溶質元素であるAl、Ni、Cu元素周りのZr配位クラスターがKelvin問題Weaire-Phelan(A15)構造を呈している場合、単位体積当たりのクラスター界面積を最小とすることができ、充填度の高い構造をとることが可能であることを示した。さらに、金属ガラスの粘性の温度依存性に伴う挙動を解析した。その結果、従来、Angellプロットしてしられているガラス遷移温度で規格化したアレニウスプロットの他に、ガラス遷移温度と理想ガラス遷移温度の差で規格化したVogel-Fulcher-Tammann(VFT)プロットを提唱し、金属ガラスの粘性の温度依存性に潜む普遍性を提示することに成功した。
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Research Products
(7 results)