2010 Fiscal Year Annual Research Report
柔粘性結晶モデルによる金属ガラスの局所原子構造の解明と新規バルク金属ガラスの創製
Project/Area Number |
21560715
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹内 章 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (40250815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 嘉彦 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00261511)
湯蓋 邦夫 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00302208)
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Keywords | 柔粘性結晶 / 分子動力学シミュレーション / 金属ガラス / 局所原子構造 / 高エントロピー合金 / 高エントロピーバルク金属ガラス / 等原子分率 / 合金開発 |
Research Abstract |
本年度は、以下の3つの研究項目を遂行した。すなわち、(1)分子の配向に関して不規則状態にある柔粘性結晶の特徴を利用した分子動力学(MD)シミュレーションによりバルク金属ガラス(BMG)の合金組成と局所原子構造を解明する研究、(2)Miedema法に基づく混合エンタルピーの合金組成依存性を準正則溶体近似表現する研究ならびに(3)計算機科学的研究手法の過程で得た知見を元に、新たなバルク金属ガラスの合金設計手法開発する研究である。その結果、(1)のMDシミュレーションでは、Zr-Al-NiおよびPd基金属ガラスの局所原子構造は、クラスター充填構造であるとともに、クラスターの数密度がパーコレーションした構造であることを明らかにした。(2)の混合エンタルピーに関しては、73種類の構成元素からなる2628種類の二元系合金の混合エンタルピーを合金組成に関する3次までの相互作用パラメータによる準正則溶体近似で表現することが可能であることを明らかにした。さらに、(3)の新規合金設計では、5元以上の等原子分率多元系合金で定義される高エントロピー(HE)合金の合金設計をBMGに導入することにより、パラジウム、白金、銅、ニッケルおよびリンが、それぞれ、20原子分率含まれる5元系合金で、臨界直径10mmのHE-BMGの開発に成功した。このHE合金の合金設計の導入を発案したきっかけは、(1)の研究過程で多種多様の金属間化合物の構造的特徴を調査した結果、等原子分率合金における金属間化合物の生成頻度が多元系になるにつれて減少することを見出したことが契機になっている。したがって、本年度の研究成果は、研究題目に掲げた研究内容、すなわち、計算機科学に基づく新規バルク金属ガラスの創製に成功した。
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