2011 Fiscal Year Annual Research Report
柔粘性結晶モデルによる金属ガラスの局所原子構造の解明と新規バルク金属ガラスの創製
Project/Area Number |
21560715
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹内 章 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (40250815)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 嘉彦 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00261511)
湯葢 邦夫 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00302208)
|
Keywords | バルク金属ガラス / 高エントロピー合金 / 分子動力学シミュレーション / ユナイテッドアトム / 合金組成図 / 周期律表 / 結晶構造 / 金属間化合物 |
Research Abstract |
柔粘性結晶モデル(PCM)による分子動力学(MD)シミュレーションを行うにあたり、従来、バルク金属ガラス(BMG)の生成が報告されている合金系に対して、市販のデータベースソフトウェアのピアソンのクリスタルデータを用いて関連する結晶構造を丹念に調査した。この予備研究の結果、多元系合金の等原子分率において、金属間化合物の存在する確率が極端に低くなることを見出した。この知見を利用することにより、新規センチメートル級BMGとして、臨界直径1センチメートルのPd_<20>Pt_<20>Cu_<20>Ni_<20>P_<20>合金を見出した。このPd_<20>Pt_<20>Cu_<20>Ni_<20>P_<20>合金は、5元系以上の多元系等原子分率合金として定義される高エントロピー(H-E)合金の開発指針をBMGの開発指針として導入して作製された新規合金であり、H-E合金とBMGとの融合材料、すなわちHE-BMGに位置づけられる。このHE-BMGのH-E合金の側面としては、これまで薄膜でしか作製できなかったH-Eガラス合金の常識を打ち破り、一気にセンチメートル級へのスケールアップに成功した点が特記される。一方、MD-PCMのシミュレーションでは、水素や炭素から構成される有機物質のMDシミュレーションで行われているUnited Atom法を取り入れ、Zr基金属ガラスの局所原子構造に対する関連化合物相として知られるZr_2Ni相に対して計算を行った。その結果、金属ガラスの一部をクラスター化して取扱い、それらのクラスターを補完する糊付け原子とのアンサンブルとして金属ガラスの局所原子構造を捉えることにより、実験結果が示す2体分布関数を最も良く再現することが明らかになった。総じて、本研究では、MD-PCMで金属ガラスの局所原子構造を解析する方法を確立することに成功するとともに、金属系材料に対して分子性物質の特徴を導入する計算方法により原子集団(クラスター)の取扱いを可能とした。さらに、これらの知見を元に新規BMGの開発にも成功した。
|
Research Products
(9 results)