2011 Fiscal Year Annual Research Report
安全・安心なマルチフェロイック型センサ/アクチュエータ素子の開発
Project/Area Number |
21560727
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
矢島 善次郎 金沢工業大学, 工学部, 教授 (60148145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 陽一 金沢工業大学, 工学部, 教授 (70265370)
池永 訓昭 金沢工業大学, ものづくり研究所, 講師 (30512371)
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Keywords | インテリジェント材料 / 非平衡相薄膜材料 / 形状記憶合金 / DLC |
Research Abstract |
前年度までの成果を活用して厚さ1μmのTiNi形状記憶合金薄膜上にDLC膜(目標膜厚250nm)を付与した.本DLCは光透過性が高いので,肉眼ではDLC付与の有無を判断できない.形状記憶合金薄膜との密着性も高く,割断程度でははく離しないことも確認している.素子用の基板材料には厚さ25μmのポリイミド箔を用い,素子作製プロセス中に電極材料(Cu膜,厚さ1μm)の付与を追加した.素子形状はコの字形(ダブルビーム形)カンチレバーで,二つのビームは電圧印加点として利用した.これに直流電源と任意波形発生器を接続して直流回路を形成し,電圧印加に伴う自己加熱を利用した形状回復動作を観察した.なお,回路中には通電状況を確認するためのLED及び電圧印加状況を確認するデータロガーを取り付けた.形状回復動作の観察は複数台のビデオカメラを用いて行った.素子はポリイミド基板が内側になるように湾曲しているので,素子側面を撮影した動画を用い,側面形状を最小自乗法で楕円に近似して形状回復動作を定量的に評価した.素子に電圧を印加(加熱)することで直線状に形状変化し,電圧印加の停止(冷却)によって初期形状に回復する二方向形状回復動作を確認した.実験の範囲内では,形状回復能の劣化は認められず,当然,形状記憶合金薄膜,電極材料,DLC膜のはく離などの外観上の損傷はなかった.電圧印加サイクルが0.4Hz程度までは,二方向形状回復動作することを確認した.DLC膜を付与していないものについても同様の方法で動作を確認したが,形状回復量に明確な違いは認められなかった.さらに高いサイクルで同様の動作を実現するには,素子形状の小型が必要と考えている.
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