2011 Fiscal Year Annual Research Report
スパッタエッチングによる微細表面突起物の形成と光・熱の吸収・放出特性の解明
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21560729
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Research Institution | Hiroshima Kokusai Gakuin University |
Principal Investigator |
中佐 啓治郎 広島国際学院大学, 工学部, 教授 (80034370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 隆 広島国際学院大学, 工学部, 講師 (60309622)
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Keywords | 構造・機能材料 / プラズマ加工 / ナノ材料 / 光物性 / 円錐状突起物 |
Research Abstract |
各種の鋼および非鉄合金にスパッタエッチングを行って微細突起物を形成させ、赤外線吸収特性および電子放出特性を調べた。 1.赤外線吸収・放出特性:微細突起物を形成させたSKH2、SKH51、SUS304、SUS316、インコネル718、りん青銅、白銅、タフピッチ銅について、積分球を用いた分光分析装置により、赤外線吸収(放射)率を測定した。その結果、波長が3μm以下の近赤外線領域では、いずれの突起物も70%以上の吸収率を示すが、それ以上の波長(3~25μm)では、吸収率が急速に低下することが分かった。これは、突起物の寸法または間隔がこの領域の波長よりも小さいことに対応する。しかし、りん青銅およびタフピッチ銅では、遠赤外線領域でも吸収率の低下が小さい。その理由は、これらの材料では、粗大な突起物の上に微細な突起物が形成されるという多重構造となっているためと思われる。銅合金は熱伝導性が大きく、インコネルなどのニッケル基合金は耐熱性が大きいので、優れた可視光線吸収率を保持したままで遠赤外線の吸収率を改善できれば、太陽光(熱)を利用した熱交換器などに利用できると思われる。 2.電子放出特性:柱状の微細突起物が形成されるSKH51および針状の突起物が形成されるりん青銅について、突起物試料(陰極)と銅平板(陽極)との間隔を0.1mmとし、真空度を1×10^<-5>Paとして、両極板間に10kV以下の電圧を加えて、電流を測定した。その結果、突起物先端形状の鋭いりん青銅では電子放出が容易に起こり、その特性はFowler-Nordheimの理論式によく適合することが分かった。銅合金は導電性が大きいので、突起物の耐久性が保証できれば、安価で高性能の電解放出ディスプレー、センサーなどへの適用が可能になると思われる。
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Research Products
(2 results)