2009 Fiscal Year Annual Research Report
欠陥・組織制御した環境共生型マグネシウム系熱電材料の高性能化
Project/Area Number |
21560732
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
磯田 幸宏 National Institute for Materials Science, 環境・エネルギー材料萌芽ラボ, 主任研究員 (80354140)
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Keywords | Mg_2SiSn / 格子欠損 / 格子間原子 / ゼーベック係数 / キャリア濃度 / 伝導型 |
Research Abstract |
Mg_2SiSn系熱電半導体でMg原子サイトの格子欠損によるショットキー欠陥と格子間原子としてのフレンケル欠陥を導入するためにMg_xSi_<1-y>Sn_yにおいてx=1.96~2.03、y=0.25~1.0組成範囲となる化合物を液-固相反応合成法により作製した。得られたインゴットは粉砕後、75-38μmの粉末をホットプレス法で焼結体を作製した。Sn組成をy=0.75に固定としてMg組成を変化させたとき、化学量論組成であるx=2.00を境に伝導型が変化した。Mg組成が化学量論組成より過剰となる組成範囲では過剰なMg原子はフレンケル欠陥を生成し、キャリアとして電子を生成していることがわかった。一方、化学量論組成よりMg組成が少ないとMg原子サイトの欠損によってショットキー欠陥が生じて、キャリアとして正孔を生成することがわかった。x=2.00ではゼーベック係数は176.9と-122.6μV/Kを示し、x=2.00以下では約500μV/K、x=2.03では-515.9μV/Kであった。キャリア濃度はp型で1.4×10^<23>m^<-3>、n型で1.0×10^<24>m^<-3>であった。また、Mg組成をx=1.98固定として、Sn組成をy=0.5~1.0としたとき、Sn組成が0.75未満ではn型伝導を示し、0.75~0.95の組成範囲ではp型伝導を示した。Mg原子サイトの欠損によるショットキー欠陥はSnとSiの組成比による生成条件があることがわかった。これは作製法である液-固相合成法ではMg_2Siの単相が生成しやすく、Mg_2Si相ではMgサイトの欠損が生成しないためである。Sn組成がy=1に近づくに伴ってゼーベック係数は459.2(y=0.75)から152.3(y=0.95)まで減少した。熱伝導率はyの増加に伴って上昇した。この結果、欠陥制御によって伝導型の制御が可能であることがわかった。
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