2010 Fiscal Year Annual Research Report
CO2削減次世代発電プラントの耐熱構造部材の高強度化技術の開発
Project/Area Number |
21560733
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
田淵 正明 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性センター, グループリーダー (60354239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 宏通 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性センター, 主席エンジニア (40354237)
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Keywords | 構造材料 / 耐熱材料 / 高クロムフェライト系耐熱鋼 / 高効率発電プラント / 二酸化炭素排出削減 / 溶接 / クリープ / Type-IV損傷 |
Research Abstract |
9-12%のCrを含有する高Crフェライト系耐熱鋼(高Cr鋼)は、クリープ強度に優れていることから超々臨界圧火力発電プラント(USC)の主要構造材料として使用され、次世代の高効率火力発電プラント(A-USC)や高温原子力プラント(高速炉、高温ガス炉)への適用も検討されている。しかし、600℃以上では溶接熱影響部(HAZ)の細粒域に生じるType-IV損傷により、溶接部のクリープ強度が低下するという問題がある。我々は、BとNの添加量を最適化することにより、高Cr鋼の溶接部のクリープ強度を改善できる可能性があることを見いだした。本研究は、Type-IV損傷を抑制する技術を確立し、高Cr鋼の使用条件や耐久寿命の向上、次世代プラントの信頼性向上に貢献することを目的としている。平成22年度は、1.Bによる溶接部のクリープ強度改善のメカニズム、2.溶接部の長時間強度と組織安定性、3.HAZの細粒組織の抑制機構に関して、以下の研究を行った。1.前年度に引き続き、開発した9Cr鋼および12Cr鋼の溶接継手および再現HAZ材の長時間クリープ試験を実施し、BとNの最適化によりType-IV損傷を抑制でき、溶接部の長時間クリープ寿命を約5倍改善できることを明らかにした。また、取得した再現HAZ材のクリープ試験のひずみデータをもとに、溶接継手のクリープ損傷の計算解析と長時間クリープ寿命の評価に着手した。2.既存の9Crおよび12Cr鋼の溶接継手について、クリープ試験を中断し、Type-IV損傷の発生・成長過程とHAZ組織の変化を定量的に明らかにした。9Cr鋼と12Cr鋼の損傷挙動の差が、主としてHAZの転位組織の回復や再結晶によることを明らかにした。3.開発した9Cr鋼と12Cr鋼の溶接継手についてクリープ中断材を作成した。これについて、ボイドやき裂の発生・成長、SEMやEBSPによる組織(析出物、粒界、転位組織)の定量評価を行い、2.の結果と比較することにより、Bによるクリープ強度改善のメカニズムについて検討を行った。
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