2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規熱プラズマCVD法による優れた耐磨耗性セラミックスコーティングと微構造
Project/Area Number |
21560737
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
清野 肇 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (50281788)
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Keywords | 熱プラズマCVD / 薄膜 / 耐摩耗性 / アルコキシド溶液 / 超硬合金 / 微細構造 / 複合膜 / 二層膜 |
Research Abstract |
本年度は,窒化チタン(TiN)膜上に部分安定化ジルコニア(PSZ)をコーティングした切削工具の耐磨耗特性と二層膜の微細構造の関係を明らかにすることを目的に研究を進めた.表面観察にはSEMを用い,断面観察にはSEMおよびTEMを用いた.以上に加え,新しい膜組成の検討を行うため,窒化ケイ素-TiN系の複合体の作製およびジルコニア系の酸化物イオン伝導に関する研究も平行して行った. 水蒸気を一定速度でプラズマ中に噴霧した(一定噴霧)試料では,最表面のPSZ層は約1ミクロンの小さなPSZ粒子で構成され,緻密であった.膜断面の観察から,PSZ/TiN二層膜が形成されていたが,PSZ-TiN間の界面には粗密な構造を持つ層が認められた.この粗密な層は主に酸化チタン(Ti02)から構成されていた.水蒸気を段階的に増やした(段階噴霧)試料では最表面のPSZ層は約3ミクロンと大きくなったが緻密であった.膜断面の観察からPSZ/TiN二層膜が形成されており,PSZ-TiN間の界面に粗密な層はほとんど認められなかった.わずかに条件を変えた試料についても観察を行い,一定噴霧に近いほどPSZ-TiN間の界面には粗密な層が厚く,段階噴霧に近いほど薄くなる傾向が認められた. PSZ-TiN間に粗密な層が薄くなると,PSZ-TiN間の密着性は向上すると考えられる.よって段階噴霧試料の方がPSZ-TiN層間の密着性は高いと予想された.一方最表面のPSZ膜は一定噴霧試料の方が緻密で構成する粒子が小さく,一般的に優れるとされる微細構造であった. 実際の切削性能においては,一定噴霧試料が優れたので,性能の向上にはPSZ/TiN界面の密着性向上が表面のPSZ粒子の制御より重要であると考えられた.
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