2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560739
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
古谷野 有 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (00215419)
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Keywords | 高窒素 / オーステナイト / 二相鋼 / 窒化 / ボイド |
Research Abstract |
本研究は高窒素オーステナイトを200℃程度の低温で時効する事によりナノメートルスケールのα-Fe十γ'-Fe_4Nの二相鋼にするものである。この二相鋼はカッターナイフの刃よりも硬い850Hvを越える高い硬度を持ち、有害物質やレアメタルを全く使わないので金型や自動車部品の表面処理に役立つと考えている。今年度は純鉄の圧延材(厚さ0.1mm)を用いてオーステナイト単相を作成する条件を調べた。10%NH_3+H_2混合ガス中の650℃程度で窒化するが、濃度勾配の少ない単相試料を作製するためアンモニア濃度、窒化時間、窒化温度と試料の窒素濃度の関係を調べた。窒化時間と共に窒素の侵入深さが増え、試料全体の窒素濃度も650℃では6時間程度までは単調に増加した。窒素が表面から内部に拡散するのでその後は時間に対して一定になると予想していたが、それに反して窒素濃度は徐々に低下していくとともに試料に大きな割れが見られるようになった。試料中の格子欠陥で窒素原子が結合して脱窒が起こりボイドが発生したと考えられる。試料厚さを稼ぐには窒化時間を増やさざるを得ないが、そうすると脱窒と試料割れが起こるので試料を厚くするほどオーステナイト単相の作製が困難になった。結局、0.1mm程度が単相が得られる最大厚さであることがわかった。構造材料の表面処理において表面硬化層の厚さは100μm程度が最適とされている。今年度の結果は100μmの窒化厚さは容易には得られないことを示しているが不可能の領域ではなく、条件を吟味すればφ10mmの丸棒表面に100μmの硬化層を生成する目標が充分現実的であることを示している。アンモニア濃度を上げて窒化ポテンシャルを高め窒化時間の短縮を図ったところ表面に白層と呼ばれるポーラスなε相が生成して時効熱処理後の硬度を著しく低下させることがわかった。
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Research Products
(2 results)