2010 Fiscal Year Annual Research Report
物理気相蒸着法により作製したガス吸着膜の特性解明とガス検知センサへの応用
Project/Area Number |
21560744
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岩森 暁 東海大学, 工学部, 教授 (90345603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 和俊 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (60357746)
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Keywords | 有機薄膜 / QCM / 物理気相蒸着法 / ガス吸着 |
Research Abstract |
本研究では、高周波スパッタリングやプラズマ支援真空蒸着法などの物理気相蒸着法(PVD)法により有機薄膜を水晶振動子上に形成し、微量濃度のガス分子の吸着性や原子状酸素などとの反応性を調べ、有機薄膜の吸着現象や反応メカニズムを解明すると共に、微量濃度の揮発性有機化合物(VOC)ガスや酸化性活性化学種などの検知用センサを開発することを目的とする。具体的には、QCM (Quartz Crystal Microbalance)法を応用し、QCMの電極上に高周波スパッタリングやプラズマ支援真空蒸着法により形成した有機薄膜を形成し、微量濃度のガス分子の吸着性や、原子状酸素など反応性、の検討を行っている。平成22年度は、PVD法の一種である高周波スパッタリングにより形成した有機薄膜のガス吸着のメカニズムを探るために、比較としてスピンコート膜を成膜し、キャリアガス(窒素)流量、VOCの仕込み量、測定環境の温度を変化させ、VOCガス吸着および脱着速度を求めて、スパッタリングで作製した有機薄膜の吸着特性を調べた。スピンコート膜はバルク材とほぼ同じ構造であり、バルク材とは異なる分子構造のスパッタ膜とはVOCガス吸着量が異なる(スピンコート膜の方が吸着量が少ない)ことが分かった。また、測定環境中のVOC濃度(今回は、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトンを使用)を検知管により計測し、VOCガス濃度と吸着量の関係を調べた。QCM金属電極と比べて、VOC1ppmあたりのガス吸着量は顕著であった。ただし、これらVOCに対する選択性は小さいことが分かった。得られたデータの再現性やばらつきなどを検討し、来年度に研究発表を行う予定である。
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