2009 Fiscal Year Annual Research Report
電析法による化合物半導体多層ナノワイヤーアレイ型太陽電池素子の作製
Project/Area Number |
21560748
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大貝 猛 Nagasaki University, 工学部, 准教授 (60253481)
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Keywords | 電析 / 半導体材料 / 太陽電池 / ナノワイヤー / メンブレンフィルター / めっき / 亜鉛 / テルル |
Research Abstract |
ZnTeは2.26eVのバンドギャップを持つII-VI族化合物半導体であり、太陽電池や緑色LEDなどへの応用が期待されている。一方、ナノメートルサイズの直径を有する線状構造体であるナノワイヤーは、アスペクト比が大きいため、高密度に配列させると光の照射面積が桁違いに大きくなるため、光電変換素子としての優れた特性の発現が期待される。本研究では水溶液から電析可能でありCd等の環境汚染物質を含まない半導体であるZnTe合金ナノワイヤーを電析法により作製するための最適条件を調べることを目的とした。浴中のZnイオンとTeイオンの最適な濃度比、クエン酸やりんご酸などの錯化剤の有無やその種類、N2ガスによる浴中の溶存酸素の除去やホウ酸などの添加剤の影響、電解浴のpHによる電析物への影響などの調査を行った。得られた試料についてX線回折実験、EDX元素分析を行い、ZnTe単相が得られる電析条件を決定した。また、得られた試料を真空焼鈍用電気炉で300℃、60min真空焼鈍を行った。陰極電位-0.8V付近で作製した場合、Zn:Te=1:1に近い組成となった。X線回折実験の結果からもZnTeを確認できたため、-0.8V付近が最適析出電位領域であると決定した。紫外可視分光光度計を用いてバンドギャップの測定を行った。いずれの試料においてもZnTeの文献値(2.26eV)よりも小さい値となった。これは、ZnTeだけではなくTe単体が析出していることやZnTe中の格子欠陥の影響によるものと考察した。一方、真空焼鈍処理を施すと、ZnTe相の結晶が成長すると共にTe相が消失し、バンドギャップが2.26eVに近づく傾向が確認できた。
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