2011 Fiscal Year Annual Research Report
レアメタル危機型ナノ・メゾ構造制御WC炭化物の創成による新超硬合金の開発
Project/Area Number |
21560751
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
森下 政夫 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (60244696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 宏明 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (40326301)
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Keywords | 溶液法 / 気相炭化法 / 二酸化炭素 / アルミニウム廃材 / 省資源 / リサイクル / ナノ構造 / 都市鉱山 |
Research Abstract |
タングステン炭化物(WC)を、金属コバルト(Co)で結合した超硬合金は、切削工具や金型として、自動車産業などを支えている。しかしながら、その主成分であるタングステンの価格は、その資源の90%を産出する中国の経済成長に伴う輸出制限により高騰している。したがって、主成分であるタングステンの使用量を削減しなければならない。本研究では、性能を維持したまま、W資源の使用量を削減した新規炭化物を作製し、超硬合金の製造に応用することを目的として実施した。 平成23年度、まず、W錯体およびCo錯体を水溶液とし、蒸発乾固、熱分解、水素還元により、W格子中Co原子を強制固溶した前駆体合金粉末を作製した。 次に、二酸化炭素(CO_2)を用いた気相炭化を試みた。CO_2から直接WC炭化物を作製することは熱力学的に不可能である。したがって、第1段階会で、CO_2を浸炭性の一酸化炭素ガス(CO)に転換し、第2段階で、COとCo強制固溶W合金とを反応させ、金属Coドメイン内包WC炭化物を創成することを試みた。 第1段反応を実施し、ガスクロマトグラフを用いたモニタリングにより、CO_2とアルミニウム廃材とを反応させることで浸炭性のCOが生成できることを見出した。第2段反応を実施し、このCOを溶液法で作製したCo強制固溶W合金と反応させると、ナノサイズの金属コバルトドメインを内包するWC炭化物の作製が可能であることが分かった。金属コバルトドメインはナノサイズによる無欠陥構造であることから、機械的性質が良好である。 本成果はタングステンの使用量を削減した超硬合金を創成し、かつ、地球温暖化ガス、CO_2を工業材料として固定する技術として期待できる。また、CO_2からCOへの転換剤としてアルミニウム廃材を用いることに成功しており、廃棄物の有効利用技術としても期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガスクロマトグラフを用いたモニタリングにより、CO_2とアルミニウム廃材とを反応させることで浸炭性のCOが生成できることを見出した。このCOを溶液法で作製したCo強制固溶W合金と反応させると、ナノサイズの金属コバルトドメインを内包するWC炭化物の作製が可能であることが分かった。金属コバルトドメインはナノサイズによる無欠陥構造であることから、機械的性質が良好である。以上の成果により、順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度、WCの生成は可能であった。しかしながら、一部、Co_6W_6Cなどの複炭化物が不純物として残留した。Co_6W_6Cが残留する理由は、炭化が不十分のためである。本年度、この二酸化炭素による気相炭化の最適化条件の確立を目指す。すなわち、CO_2からCOへ効率よく転換するため、これらの転換剤の量や反応温度と時間などのプロセス条件を最適化する。次に、効率よくWC炭化物を作製するため、反応温度と時間、転換COガスの流量などのプロセス条件を最適化する。なお、本年度は、都市鉱山からの超硬合金廃材からWとCo分離精製し、当該新規WC炭化物の原料として用いる検討も実施する予定である。
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Research Products
(1 results)