2009 Fiscal Year Annual Research Report
荷電粒子線とナノ操作を利用した極限反応場での非平衡ナノ構造の形成と物性計測
Project/Area Number |
21560755
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
葛巻 徹 Tokai University, 工学部, 講師 (50396909)
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Keywords | ナノマニピュレーション / TEM / FIB / カーボンナノチューブ / ナノ材料試験 / 非平衡 |
Research Abstract |
現在様々な材料開発が行なわれている中で、カーボンナノチューブなどナノスケールでの材料開発が進んでいる。材料開発では使用する材料の構造についてよく調べると共に、諸特性を知る必要がある。ナノ材料の特性を調べるためには従来型のマクロスケールの材料試験に代わり、ナノスケールでの材料試験が可能な新規実験装置が必要となる。そこで今回、ナノレベルの材料を観察しながら引張・圧縮試験を可能にするマニピュレータの開発に取り組んだ。本装置は、ホルダーの先端に装着した試料に引張・圧縮荷重をかけた際に、ホルダーに内蔵された板ばねのたわみを電気的に読み取ることで荷重を計測する機構を搭載している。本実験では荷重検出に重要な板ばね部の作製について取り組み、また荷重校正用分銅を用いて荷重校正を行い、荷重-歪み曲線を求めた。このデータを元にAlシート・CNTシートの引張試験の結果と照らし合わせて引張試験機として機能しているかを確認した。バネ材料は、材料力学計算および本装置の使用環境がTEM等の高真空中であることから材料としてガスの放出が少ないこと、耐摩耗性に優れることさらに加工性などを考慮してリン青銅を採用した。リン青銅板厚を設計当初の0.3mmから0.25mmへと変更し計測感度を高めた。荷重計測部の実荷重校正を行った後、Al材料を標準試料として引張試験を行った結果、ヤング率は約60.0kN/mm^2、最大荷重と断面積から引張強さは約85.3N/mm^2が得られた。これらの値はAlの文献データとほぼ同程度の値であることから、本装置が引張試験機として機能していることを確認した。本研究で作製した試験ホルダーを収束イオンビーム加工装置に挿入し、ガリウムイオン照射によるAl試料の加工と、その後の引張試験による応力-歪み曲線を求めた。これにより、ナノスケール材料試験システムとして運用可能であることをが確認できた。
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