2010 Fiscal Year Annual Research Report
荷電粒子線とナノ操作を利用した極限反応場での非平衡ナノ構造の形成と物性計測
Project/Area Number |
21560755
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
葛巻 徹 東海大学, 工学部, 准教授 (50396909)
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Keywords | ナノマニピュレーション / TEM / FIB / カーボンナノチューブ / ナノ材料試験 / 非平衡 |
Research Abstract |
現在様々な材料開発が行なわれている中で、カーボンナノチューブなどナノスケールでの材料開発が進んでいる。材料開発では使用する材料の構造をよく調べると共に、諸特性を知る必要がある。ナノ材料の特性を調べるためには従来型のマクロスケールの材料試験に代わり、ナノスケールでの材料試験が可能な新規実験装置が必要となる。昨年度は、ナノレベルの材料を観察しながら引張・圧縮試験を可能にするマニピュレータを備えた電子顕微鏡用の試料ホルダーの開発とその性能評価及び集束イオンビーム加工観察装置(FIB)内での引張試験について検討した。本研究では、マニピュレータ付き試料ホルダーをFIB及び走査型電子顕微鏡(SEM)に導入し、ナノ材料試験システムとして機能させることを目的として実験に取り組んだ。マニピュレータ付き試料ホルダーにタングステンの線材又は箔状の試料を組み込み、FIB内でガリウムイオン照射により試験片を微少サイズに加工し、引張試験を試みた。本実験により、応力-歪み曲線のデータが取得できた。引張強さは従来報告されているデータとほぼ一致する値が得られたことから、材料試験システムとして機能していることを確認した。ただし、線材と箔では歪み量に違いが現れた。この違いを組織的観点から調べるため組織観察を行ったが、破断組織の観察ではイオンビームによる表面組織への照射損傷のため詳細な観察データが得られなかった。そこで本研究では、SEM内での引張試験及び観察が可能な試料ホルダー用ポートを新規に作製してSEMに組み込み、実験を試みた。試料ホルダーの位置調整の結果、破断の様子をSEM観察しながら引張試験が行え、破断組織の観察も容易に行うことができるようになった。以上の実験により、マニピュレータ付き試料ホルダーをFIB、SEM内で使用することにより、ナノスケール材料試験システムとして運用可能であることが確認できた。
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