Research Abstract |
本年度は,メカニカルアロイング(MA)-放電プラズマ焼結(SPS)プロセスにより高強度かつ低ヤング率を兼備したβ型Ti合金の創製を試みた.対象とした合金系は,純チタン(Ti)と高融点金属かつ高耐食性を示す純タンタル(Ta),純ニオブ(Nb),純鉄(Fe)を複合化し,その特性の評価に取り組んだ. Ti-Ta粉末は,MA処理中に固相反応によってTiH2が生成した.Ti-Ta粉末の硬さは,MA処理時間に依存し,MA8hのTi-40Ta粉末で,最高硬さ798HVを示した.MA8hの粉末から作製した.Ti-40TaSPS材で,最も高い値1232HVを示した.MA8h処理した粉末から作製したTi-20~40TaSPS材では,α-Tiからβ-Tiへ相変態し,MA-SPSプロセスによってβ型チタン合金が創製された.Ti-Nb粉末の最高硬さは,MA8hのTi-20Nb粉末で得られ,その値は518HVだった.MA8hの粉末から作製したTi-10,20NbSPS材では,α-Tiからβ-Tiへ相変態し,β型チタン合金が創製できた.SPS材の最高硬さは,MA4hの粉末から作製したTi-10Nbで得られ,その値は889HVを示した. MA8hのTi-Fe粉末の硬さは,MM処理前の純チタン(189HV)や純鉄(173HV)よりも高い値を示した.MA8hのTi-20Fe粉末が最も高い硬さ638HVを示した.SPS材では,α-Tiからβ-Tiへ相変態は起きずα+β型のチタン合金が創製された.SPS材の最高硬さは,MA4hのTi-10Feで得られ,その値は1052HVを示した. 各元素の添加量やMA処理時間,SPS条件をコントールすることによって,SPS材の硬度レベルを制御できることが示された.また,粉末冶金法によってβ型チタン合金が創製できたことから,SPS材のヤング率の制御も可能であることが示唆された.
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