2009 Fiscal Year Annual Research Report
不働態化金属の水素吸収と脆化に関する電気化学と材料強度学との融合による基礎的研究
Project/Area Number |
21560757
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
酒井 潤一 Waseda University, 理工学術院, 教授 (90329095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 賢一 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80308262)
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Keywords | 腐食防食 / 水素脆化 / 表面解析 / 高耐食性合金 |
Research Abstract |
本研究の目的は、不動態皮膜により高耐食性を有する合金の腐食に伴う水素吸収から水素脆化に至るまでの全体像の特徴と機構について、電気化学的観点と材料強度学的観点を相互に関連させて複合的に調べ解明することである。そして、安全性・信頼性のさらなる向上のための材料評価法及び新しい合金開発のための指針となることを目指す。 本年度では、純Ti、Ni-Ti超弾性合金、ステンレス鋼などの高耐食性合金に電解陰極チャージ法により水素を添加し、水素の存在状態が及ぼす引張特性や耐食性への影響を調べた。Ni-Ti超弾性合金では、水溶液温度の違いによる水素チャージ条件で水素吸収挙動や昇温水素放出挙動が変化すること系統的に調べ明らかにした。溶液温度が上昇すると高温側の放出量が特に増加することが注目される。水素チャージ後の材料強度試験においては、応力誘起マルテンサイト変態に関連して合金中の水素の存在状態が変化し水素脆化特性が変化することも示唆された。純Tiでは、水素チャージする溶液の条件などによって昇温水素放出挙動が変化する場合があったが、α+β型Ti合金ではチャージ溶液の違いによって水素放出挙動はあまり変化しなかった。これは、水素チャージ条件が及ぼす水素の存在状態への影響は合金に依存することを示している。合金の水素脆化特性を評価する際、水素チャージ条件の選定が新たな課題になると考えられる。 水素吸収が及ぼす耐食性への影響に関して、水素吸収した純Tiは浸漬する環境によって耐食性が低下することを電気化学的測定や腐食後の表面解析などから明らかにした。さらに耐食性低下の度合いは水素吸収量に関連することも明らかにした。これは生体環境内での長期的な安全性・信頼性に懸念を抱く結果と考えられる。
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Research Products
(3 results)