2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560763
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
木村 勇次 独立行政法人物質・材料研究機構, 新構造材料センター, 主幹研究員 (80253483)
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Keywords | 材料加工・処理 / 結晶・組織制御 |
Research Abstract |
本研究では、超微細結晶粒組織を有する0.4%C-2%Si-1%Cr-1%Mo鋼(重量%)について、層状破壊の発生機構を明確にし、靭性向上に有効な組織因子を抽出することを目的とする。 本年度は、前年度に見出した最適な温間加工温度である500℃において、超微細繊維状結晶得粒組織が得られる加工ひずみ量の条件を決定し、層状破壊の発生に及ぼす組織因子を抽出することを目的とした。マルテンサイト組織を500℃で1時間焼戻処理した後に500℃に保持しながら溝ロール圧延機で0~80%までの種々の減面率(=加工ひずみ量)で温間加工を施して得られる材料の組織と引張変形特性と衝撃靭性の関係を調査した。その結果、減面率が大きくなるほど超微細繊維状結晶粒組織の割合が高くなり80%の減面率で材料のほぼ全域で目的とする超微細繊維状結晶粒組織が得られることがわかった。一方、材料の室温における降伏強度は加工ひずみ量が高くなるほど顕著に上昇した。室温のVノッチシャルピー衝撃試験では、加工ひずみ量が高くなるほど層状破壊が顕著となり、吸収エネルギーも上昇することを確認した。シャルピー衝撃試験を227℃から-196℃の範囲で行った結果、80%の減面率で加工した材料では層状破壊に起因した衝撃靭性の逆温度依存性が認められ、同じ1800MPaの引張強度レベルの通常焼入れおよび焼戻材と比べて靭性が大幅に改善されることをわかった。層状破壊の発生には、特に基地結晶粒組織の短軸粒径、形状、そして集合組織が大きな影響を与えることが示唆された。
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Research Products
(1 results)