2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560767
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松田 秀幸 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (00181735)
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Keywords | 光ガルバノ分光法 / 酸素 / 窒素 / 鉄鋼 / アルゴン / 共鳴2光子励起 |
Research Abstract |
酸素、窒素などの鋼中ガス成分を発光分光法で分析する場合、分析に使用できる発光線の波長は、酸素が130.2nm、窒素が149.4nmと真空紫外領域にある。真空紫外光は大気中の酸素により大きな吸収を受けるため、分析のための光路は排気もしくは窒素やアルゴンなど不活性ガスで置換する必要があり、また分光には大型の真空分光器が必要となる。分析のためのスペースに制限のある鉄鋼製造現場においては、酸素、窒素のオンサイト発光分析はこれまで困難な状況にあった。取り扱いが容易な可視から近赤外域にも酸素や窒素原子は発光線を持つが、これらは前述の真空紫外の発光線に比べその励起エネルギーが大きいため高感度分析には適していない。ここで光ガルバノ分光法を用いれば、簡単な装置で(分光器が不要)可視から近赤外域での高感度分析が可能であるため、鉄鋼製造現場で特別な工夫をしなくても酸素や窒素を容易に高感度分析できる可能性がある。そこで平成21年度は光ガルバノ分析法の研究を行うにあたり、プラズマガスとして用いるアルゴンについて、a)酸素や窒素との分光干渉を予測するため、b)一般に広く用いられている発光分光法と光ガルバノ分光法の特性の違いを理解するために、735nmから850nmの可視から近赤外に現れるアルゴン原子の光ガルバノスペクトルを測定してその帰属や励起機構について詳細に調べた。その結果、i)発光スペクトルで観測できるアルゴンの原子線は光ガルバノ分光法でも観測できること、ii)レーザー光をレンズで集光してエネルギー密度を上げること無しに、励起レーザーのパルスエネルギーを数mJまで上げるだけで多数のアルゴンの2光子励起光ガルバノピークが容易に観測することが出来ること(詳しい解析の結果、アルゴンの共鳴2光子励起による光ガルバノ効果が起こっていることが判明)がわかった。
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