2009 Fiscal Year Annual Research Report
バイポーラ膜電解槽を用いた強酸化性溶媒の製造とその応用
Project/Area Number |
21560772
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 智司 Chiba Institute of Technology, 工学部, 教授 (80118710)
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Keywords | イオン交換膜 / 電解製造 / フェレート / 表面処理 / 廃水処理 / 有機物の分解 / 脱色処理 |
Research Abstract |
本研究は、ノンクロム代替酸化剤として特殊なイオン交換膜であるバイポーラ膜を電解隔膜に用いた電解槽による強酸化性溶媒であるフェレート溶液の電解製造と、フェレート溶液をめっき分野、水処理分野に応用するための基礎調査からなる。21年度は、電解隔膜にカチオン交換膜を使用した電解槽を用い、電解諸条件がフェレート(鉄酸塩)生成量に及ぼす影響を調べた。フェレート溶液の応用については、溶液の特徴を生かせる水処理分野への応用を優先させ、着色廃水の脱色処理、有機物の分解処理について定性的な調査を先行させた。得られた結果は以下のようになる。 NaOH濃度が高いほど高濃度のフェレート溶液が製造できる。電解中アノードではフェレート生成と共に酸素の発生があり、電気化学測定からその競合反応が不可避である。電解の進行に伴いアノード表面に不導態皮膜が形成されて、鉄の溶解が抑制されフェレート生成量が減少すること、およびカソード室のpH低下に伴う水によるフェレートからFeOOHへの還元も起こることがわかった。電解時間240minで得られたフェレート濃度は3.5g/dm^3であった。フェレート溶液は放置すると水と反応し、徐々に還元が進行するが、-180Cの低温では1ヵ月後でも90%残っており、長期間貯蔵の可能性が見出せた。 従来の塩化鉄法に比べ、少量の添加で効果的な凝集沈殿浄化作用が認められたが、逆に添加し過ぎると、反応に寄与しないフェレートイオンが着色の原因となるため、適正な添加量を把握する必要がある。フェレート添加法は処理時にpHの制御を必要としないので、簡易処理法としては好都合であり、多機能的な水処理剤として使用できる可能性がある。 有機物の分解はベンゼン、トルエンについてはよく分解したが、それ以外の分解率はあまり高くはなく、どの有機物に関してもCO_2までの完全な無機化はできなかった。
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Research Products
(6 results)