2010 Fiscal Year Annual Research Report
バイポーラ膜電解槽を用いた強酸化性溶媒の製造とその応用
Project/Area Number |
21560772
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 智司 千葉工業大学, 工学部, 教授 (80118710)
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Keywords | イオン交換膜 / 電解製造 / フェレート溶液 / 酸化剤 / 表面処理 / ノンクロム代替材 / アノード酸化 |
Research Abstract |
本研究は、特殊なイオン交換膜であるバイポーラ膜を電解隔膜に用いた電解槽による強酸化性溶媒のフェレート溶液の電解製造と、フェレート溶液をノンクロム代替酸化剤としてめっき分野、水処理分野に応用するための基礎調査からなる。22年度は、前年度に引き続き電解諸条件がフェレート生成量に及ぼす影響を調べた。特に電解隔膜の影響では、アニオン交換膜、カチオン交換膜によるフェレート溶液生成に及ぼす電解条件の影響について基礎データの収集を行った。カチオン交換膜、アニオン交換膜とバイポーラ膜との結果を総合的に比較検討し、バイポーラ膜電解槽を用いたフェレート製造の原理的優位性を検証した。フェレート溶液の応用については、陽極酸化処理対象金属にマグネシウム、チタンを取り上げ調査した。 得られた結果は、以下のようになる。カチオン交換膜では時間経過に伴いフェレート生成と共にアノード室ではOH^-を消費し,アノード近傍のpHが下がる。その結果、時間経過に伴いフェレート濃度は極大値を示し、その後は逆にフェレート濃度、全鉄とも低下する。それに対してバイポーラ膜の膜境界領域では、アニオンおよびカチオンの移動はなく、水の分裂が生じアノード室とカソード室にそれぞれ等モルのH^+とOH^-イオンが供給されるので、アノード近傍のp且の低下が避けられ、フェレートの生成量は大きくなり、さらに全鉄、フェレート濃度の低下が見られず、長時間の電解が可能であった。バイポーラ膜を用いて液温15℃に制御し、6mol/L NaOH溶液で60時間電解において、得られたフェレート濃度は約6g/Lであった。 Mg合金の陽極酸化処理後の耐食性評価は、現行のDOW17処理材と同程度であった。処理後のTi表面にはアナターゼ型の結晶構造を持つTiO_2皮膜が同定され、従来高温処理で得られるアナターゼ型TiO_2皮膜が室温で生成できた。生成皮膜はブラックライト照射前・後の水との接触角は照射前で20。程度、照射後は5。以下と低下し、生成皮膜は光触媒性を有し、光誘起親水性を示すことが分かった。
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Research Products
(2 results)