2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560773
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
杉山 明 Osaka Sangyo University, 工学部, 教授 (10335375)
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Keywords | 鋳造欠陥 / 直接観察 / 透過X線 |
Research Abstract |
Al合金は,内包する気泡欠陥のために信頼性が低く,重要部品に使用できない.Al合金中における気泡とその表面の酸化皮膜の形成挙動を解明できれば,工業の発展に寄与することができる.そこで,高輝度透過X線を利用して,溶融Al内部における気泡挙動の直接観察を試みた.観察は,SPring8におけるイメージングビームライン(BL20B2)で行った.AlはAr雰囲気に置換した密閉チャンバー内において,アルミナ製鋳型内で溶解した.溶融Al中へのガス導入には,外径0.3mm内径0.15mmのステンレス細管を用いた.導入ガスはArとした.X線のエネルギーを最適化し,ガス導入のための境界条件(圧力,流量)を調整した結果,Al溶湯中に形成される気泡の直接観察に成功した.形成された気泡は,視野範囲(約4mm×4mm)よりも径が大きくなった後ステンレス細管から離脱して視野外へと上昇した.気泡と液相界面は明瞭であり,反応形成物等の存在は確認できなかった.ステンレス細管からの離脱時には半径と同程度の長さの尾を引き1/30秒以内(撮影の最短時間)の瞬時に離脱した.離脱後に溶湯内部に気泡の痕跡は残らなかった.人工空気やAr-H2混合ガスでの生成過程などについて,次年度以降実施予定である.さらに本年度はチャンバー内をAr-5%H2混合ガスに置換した状態でAlを溶解し,H2ガスのAl溶湯中への溶解を促した後にチャンバー内を減圧することでH2気泡の形成を試みた.しかしながら,Al溶湯中での気泡の生成は観察されなかった.細管による人工的な気泡の形成と比較して,より現実的な気泡の形成過程の観察が期待されることから,Ar-H2ガス雰囲気での保持時間などを最適化することで次年度以降引き続き実施する予定である.
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