2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560773
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
杉山 明 大阪産業大学, 工学部, 教授 (10335375)
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Keywords | 濡れ / 透過X線 / 鋳造欠陥 |
Research Abstract |
溶融アルミ合金中に形成される気泡の挙動について、高輝度放射光施設ならびに産業用透過X線装置を用いて直接観察を行った。高輝度放射光施設においては、高空間分解能の特徴を利用して、水平方向に設置した細管(内径0.3mm)からの気泡形成過程および細管や壁面との濡れ現象の詳細観察を試みた。しかし、時間分解能が低く(毎秒約7フレーム)、界面形状は明確に確認できなかった。しかしながら、本実験から水平方向の細管に対しては気泡が濡れやすく、壁面に沿って濡れながら上昇することが明らかとなった。これは、鋳造時の鋳壁あるいは中子からのガス発生を想定した時、鉛直壁から生じた気泡が壁から離れて液相中に移動することは困難であり、ある程度鋳壁に濡れて移動することを示唆している。鋳壁からのガス発生モデルにいては、このような現象はあまり想定されておらず、気泡欠陥の予測モデル構築に対して重要な情報となる。今後、気泡の発生や濡れに対する境界条件を明確にすることで、より詳細な気泡発生モデルが構築できると考えられる。一方、産業用透過X線装置を用いた実験では、比較的広い視野を用いて気泡の上昇過程を直接観察した。鉛直に立てた細管(内径0.3mm)から生じた気泡は、球形に近い形状をしており、酸化皮膜等によって形態が安定していると考えられた。気泡上昇の軌跡はほぼ直線的であったが、若干旋回する様子が見られた。この結果は、溶存水素から形成される気泡や鋳壁から分離して上昇する気泡の挙動を知る上で貴重なデータとなる。しかしながら、本実験の範囲では、気泡の上昇に対して十分に広い視野を確保できず、気泡の軌跡や上昇速度に関しては、さらに詳細な観察が必要である。
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