2011 Fiscal Year Annual Research Report
アパタイト型ランタンシリコン酸化物における逆フレンケル欠陥平衡の解明
Project/Area Number |
21560774
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
小林 清 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, 主任研究員 (90357020)
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Keywords | 酸素イオン伝導体 / オキシアパタイト / ランタンシリコン酸化物 / イオンブロッキング / Hebb-Wagnerセル / 電子伝導度 / Wagner理論 / 非定常時間緩和 |
Research Abstract |
新規な酸化物イオン伝導体であり,難焼結性であるオキシアパタイト型ランタンシリコン酸化物について,独自開発した単相でありながら低温焼結性であるオキシアパタイト型ランタンシリコン酸化物粉末を用いて緻密な焼結体試料を作製した.さらに自作のHebb-Wagner型直流分極セルおよび独自の固体電気化学計測システムを開発することにより,計測が困難な電子伝導度を解明すると共に,電解質内部に発生させた電子濃度分布の化学拡散緩和を電極間電圧の非定常時間緩和で計測することに成功した.更に電子の化学拡散緩和曲線を拡散理論と固体電気化学理論を組み合わせた解析理論式を導出し,独自の解析ソフトによる非線形最小自乗法を用いて電子欠陥の化学拡散係数を求めることに成功した. 電子欠陥化学拡散緩和曲線は初期印加電圧が小さい条件では理論式と良く一致したが,初期印加電圧が高い条件では理論曲線に一致せず,計算が発散した.これは理論式展開において初期電子欠陥濃度の線形分布仮定が成立していない領域であったことが原因と考えられる.計算された電子欠陥拡散係数は酸素分圧に依存しないと考えられた.求められた拡散係数は10^<-9>m^2/sオーダーであること,温度依存性が小さいことから,オキシアパタイト型ランタン・シリコン酸化物の正孔はラージポーラロンとスモールポーラロンの中間状態に近く,詳細な解析には更なる検討が必要であることが明らかになった.また電子欠陥検討のためランタンの一部をネオジウムに置換した試料の電気伝導度測定も追加して行った結果,ランタノイドイオン種の置換により電子伝導特性が大きく影響されることが明らかになった.
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