2010 Fiscal Year Annual Research Report
高濃度塑粘性スラリー系撹拌槽におけるカバーン形成状況に及ぼす通気操作の影響の解明
Project/Area Number |
21560775
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
上ノ山 周 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (50233945)
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Keywords | ミキシング / 通気操作 / 降伏応力流体 / カバーン / 撹拌槽 |
Research Abstract |
一定以上の応力を加えないとずり流動を生じないスラリー系流体を小型翼を用いて撹拌すると、翼の廻りのみ流動し、その外側では静止する現象を生じることが知られている。このような流動領域はカバーンと呼ばれ、カバーンの内外では液の交換が起こらないため、槽全体の混合が極めて不良となる。一方、通気操作を行うことで槽内に循環流を発生させることができる。しかし撹拌場での気泡群の浮遊パターンがスラリー系流体の流動状態に及ぼす影響の解明は十分になされていない。 これらのことを背景に、前年度は、スラリーを模擬した、降伏応力を有する流体であるカルボキシビニルポリマー水溶液流体を対象に通気撹拌操作を行い、コーンケイブ翼を槽の液深3分の1高さに設置し、大型リングスパージャーを槽底部に配置して通気するのが、流動・混合状態の改善に有効であることを明らかにした。 同結果に基づき、本年度は通気量Q[L/min]や翼回転数n[s^<-1>]の変化が混合速度に及ぼす影響を定量的に検討した。前年度と同様にカルボキシビニルポリマー水溶液を対象に、通気撹拌操作を行い、槽群断面における未混合面積率の経時変化に基づき、まず混合速度定数k[s^<-1>]を定義した。次に操作条件Qやnの変化が混合速度定数kに及ぼす影響を定量的に検討した。その結果Q=10L/minにおいては、混合速度定数kはnに依存せず一定であったのに対し、Q=15L/minではkはnの約5乗に比例して大きくなり、未混合領域の解消に有効であることが分かった。高通気量の場合、撹拌に伴う翼からの吐出流によって気泡の浮遊パターンが変化し、高回転数では気泡によって流動が生じる領域が槽全体に広がることにより、混合速度定数左が大きくなることを明らかにした。
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