2010 Fiscal Year Annual Research Report
内部貫通細孔を有する生体機能分子内包マイクロカプセル型分離剤の開発
Project/Area Number |
21560780
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
塩盛 弘一郎 宮崎大学, 工学部, 准教授 (80235506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清山 史朗 都城工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (90300665)
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Keywords | マイクロカプセル / 抽出剤 / 金属結合タンパク質 / 多孔質材料 / 生体分子 / リサイクルプロセス / 分離材 |
Research Abstract |
粒径の異る分散水相を有するW/O/Wエマルションを出発状態として,有機相中でジビニルベンゼンをin situ重合することにより内部に連結した球状細孔を有するマイクロカプセルを調製した。亜鉛の抽出剤である2-Ethylhexyl phosphonic acid mono-2-ethylhexyl ester (PC-88A)をカプセルに内包させた。マイクロカプセルの粒子径は,200-300μmであった。内水相の塩濃度,体積分率および乳化条件によって,内部の球状細孔の密度と細孔径を,また,有機相のPC-88A,ジビニルベンゼン,トルエンの濃度によりカプセル壁の構造を制御できることがわかった。内包したPC-88Aは使用したほぼ全量が内包された。PC-88A内包マイクロカプセルを用いて硫酸溶液からの亜鉛イオンの抽出挙動を明らかにした。亜鉛は,pH2より高いpHで抽出され始め,pH4以上で抽出率はほぼ一定となった。カプセルへの亜鉛の最大抽出量とPC-88Aの内包量との関係より,1つの亜鉛イオンに対し2分子のPC-88Aが反応していた。抽出挙動は,溶媒抽出の場合と同じであることが確かめられた。PC-88A内包マイクロカプセルによる亜鉛イオンの抽出速度を測定した。内部に連結球状細孔を形成させたカプセルのほうが,細孔がないカプセルよりも抽出速度が速く,細孔径が大きいほうが抽出速度が早くなった。PC-88A内包マイクロカプセルをカラムに充填し,連続流通操作により抽出を行った。細孔のないカプセルを用いた場合は、早くからカラム出口の亜鉛濃度が急激に高くなりその後ゆるやかに濃度が高くなる破過拳動であったが,連結球状細孔を形成させたカプセルは,長い間出口の亜鉛濃度が低く,その後急激に高くなり,初濃度と同じ出口濃度となった。これらの結果より内部の連結球状細孔の効果を確認することができた。
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