2010 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体を環境負荷低減物質として応用するための粘度および密度測定に関する研究
Project/Area Number |
21560786
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Research Institution | Nihon University Junior College |
Principal Investigator |
栗原 清文 日本大学, 短期大学部・応用化学科, 教授 (50186508)
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Keywords | 環境材料 / 物性実験 / 化学工学 |
Research Abstract |
本年度に実施した研究の成果は以下の通りである 1.イオン液体の粘度に関する文献調査 イオン液体の粘度データについての文献調査を行い,収集したデータを,イオン液体粘度データベースに入力した.収集した文献数はイオン液体26種を含む92件であり,これに昨年度分を加えて,イオン液体94種に関する290件の文献を入手した.これにより,現状で論文として公表されているイオン液体の粘度に関する情報を把握するとともに,その問題点の整理および今後の実験計画の作成のための指針を得た. 2.粘度計の校正 Canon社製粘度校正用標準試料N75として,本研究で測定に用いる落球式粘度計の校正すなわち装置定数Kの決定を行った.この結果,K値は落下角度30゜において温度の一次関数として表すことができることを見出した. 3.落球式粘度計ならびに測定方法の検証 Marshらによってイオン液体の粘度測定の基準物質として定められた1-Hexy1-3-methylimidazoliumbis (trifluoloymethylsulfonyl) imide([HMIM][TFSI])を対象に,温度293.15~353.15Kにおいて粘度測定を行い,本落球式粘度計並びに測定方法を検証した.この結果,本実測値とMarshらが推奨する[HMIM][TFSI]の粘度値との相対平均偏差は0.5%以内であることから,イオン液体の正確な粘度データを測定できることを確認した. 4.イオン液体の粘度測定と相関 粘度データが不足している3種のイオン液体,1-Buty1-1-metylpyrroliumbis (trifluoromethylsulfonyl) imide,1-Ethy1-3-methylimidazoliumbis(trifluoromethylsulfonyl)imide及び1-Propyl-3-methylimidazoliumtetrafluoroborateの粘度を293.15~353.15Kにおいて測定を行い,イオン液体を実際のプロセスに応用する際に必要となるこれらイオン液体の粘度並びにその温度依存性に関する知見を得た.また,実測したイオン液体の粘度データを温度の関数として表現するための相関を検討し,いずれもArrhenius型ではなく,Vogel-Fulcher-Tamman (VFT)型を用いてに良好に表されることを確認した(相対平均偏差≦0.5%).決定したVFTパラメータを用いると,任意の温度でその粘度を算出できるため,本パラメータは工学的だけでなく工業的にも有用であると考える. なお本年度予定していたイオン液体を含む2成分液体混合物の粘度測定は,急遽,Marshらの推奨値と本研究の粘度データの整合性を検証する必要が生じたため,その測定に時間を取れず,次年度のテーマとした.
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Research Products
(1 results)