2011 Fiscal Year Annual Research Report
不均一系制御/リビングラジカル重合プロセスの設計基盤の確立
Project/Area Number |
21560790
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
飛田 英孝 福井大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30237101)
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Keywords | 分離・反応工学 / 触媒・化学プロセス / 化学工学 / 高分子合成 / 構造・機能材料 |
Research Abstract |
古典的ラジカル重合の有する優れた汎用性にリビング性に起因する高い制御性を付与した制御/リビングラジカル重合は、高品質・高機能な高分子を合成することのできる画期的な重合手法である。また、環境問題への配慮から水、超臨界二酸化炭素、イオン液体などがこれまでの有機溶剤の代替媒体として注目されており、不均一系における重合反応は微粒子合成のみならず環境対応型媒体中での重合方法としても注目されている。本研究は、水媒体不均一系における制御/リビングラジカル重合プロセスを設計する際に基盤となる反応工学理論の確立を目指している。すなわち、種々雑多な制御/リビングラジカル重合プロセスを統一的に理解することにより、今後、急増すると予想される制御/リビングラジカル高分子微粒子の工業化に貢献することを目標としている。 最終年度である23年度は、これまでの成果を踏まえ、乳化分散系における重合速度のバルク重合との違いを(1)低濃度成分については微小液滴内に1分子存在するだけでも対応するバルク重合時よりも高くなる「1分子濃度効果」、(2)微小液滴間の濃度揺らぎが無視できなくなる「濃度揺らぎ効果」の2つの効果に基づいて説明できることを明らかにした。これらの効果により重合速度がバルク系に比べ大きく変化し始める液滴径を容易に予測できる理論式を提案した。また、このような理論に基づいて、過去10年以上にわたり論争が続いてきたRAFT重合メカニズムに対する2種類の重合モデルが、ミニエマルション重合を活用すれば容易に判別できることを理論・実験を通じて明らかにした。この論文は、重要論文としてWiley社のHPから無料でダウンロードできるようになっている(2012.4.19現在)。これらの研究は、国際学会における招待講演、3編の国際学術論文にまとめ、成果を広く公表した。
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