2010 Fiscal Year Annual Research Report
放射光・電子分光融合分析が実現する可視光応答型光触媒の合理的設計
Project/Area Number |
21560798
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 朋子 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 准教授 (90283415)
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Keywords | 光触媒 / 放射光分光 / 電子分光 |
Research Abstract |
N_2^+イオンを室温でルチル型TiO_2(100)単結晶に照射量1×10^<17>/cm^2~5×10^<17>/cm^2で注入した.イオン注入後,その一部を大気中573Kで2時間熱処理し,イオン照射によって生成した点欠陥の回復を図った.窒素注入後及び加熱処理後の試料について,窒素K殻吸収端X線吸収スペクトル(XANES)を放射光施設UVSORのBL-4Bで測定した結果,高活性試料のXANESには398eVと401eVの二つの吸収が認められた.一方,不活性試料のXANESには401eV付近に一つの鋭いピークが認められた. そこでN,No,No_2がTiO_2中の酸素原子を置換している場合とTiO_2格子間に存在している場合について構造モデルを立て,理論計算コード(FEFFコード)を用いてXANESシミュレーションを行った.これら計算スペクトルを,実際に測定したXANESスペクトルと比較した結果,高活性触媒表面ではTiO_2中の酸素原子を窒素原子で置換した構造が,不活性触媒表面では酸素原子をNO_2分子が置換した構造が形成されたと結論できた.これら二つの構造モデルに対して電子状態密度(Dos)計算を行った結果,前者ではTiO_2価電子帯上方にN2p軌道が形成され,バンドギャップが狭まることが明らかとなった.後者では伝導帯に近い準位にN2p軌道が形成され,光照射により生成される電子-正孔再結合を促進する可能性が示唆された.
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Research Products
(6 results)