Research Abstract |
持続可能な社会を実現するためには,我々の生活水準を維持するために必要なエネルギーを再生可能な資源と再生可能なエネルギーから作り出す必要がある.我々は,白金添加酸化チタン光触媒に室温で光を照射しながら再生可能資源であるメタンと水蒸気を流通させると,メタンは水により二酸化炭素にまで酸化され,同時に水素が得られることを見出し,これを光触媒的メタン水蒸気改質反応と名付けた.その後,一般に貴金属添加半導体光触媒が有効であろうという作業仮説を立て,白金添加ランタンドープタンタル酸ナトリウム光触媒,白金添加酸化ガリウム光触媒,白金添加チタン酸カルシウム光触媒を研究し,それぞれに高性能化を達成してきた.平成23年度には,チタン酸カリウムに酸化的光析出法を用いてロジウム助触媒を添加したところ,ロジウム金属ナノ粒子とロジウム酸化物ナノ粒子がそれぞれ独立に表面に添加され,還元反応による水素の生成,酸化反応による二酸化炭素の生成をそれぞれが担い,全体としてより高活性を示すことを見出した.このように2種類の酸化状態の助触媒が添加されるのは,半導体の伝導体のポテンシャルに関係があることも示すことができた.以上,3年間の本基盤研究(C)を総括すると,本光触媒反応系の設計指針として,(1)適量の表面中間体が存在するようなメタン・水・光量の最適値,(2)欠陥が少なく高表面積な半導体,(3)各半導体に応じた内部ドープや表面修飾,(4)貴金属助触媒ナノ粒子と半導体の良好な接合,(5)酸化サイト・還元サイトそれぞれへの助触媒の添加,(6)若干の加熱,を検討・実現することが重要であると整理された.
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