2011 Fiscal Year Annual Research Report
可視光駆動型二酸化マンガン光触媒を用いた人工光合成反応の最適化
Project/Area Number |
21560800
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古屋仲 秀樹 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点准教授 (40248620)
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Keywords | 触媒・化学プロセス / 合成化学 / 地球温暖化ガス排出削減 |
Research Abstract |
地球上の植物は、葉緑体内でマンガン原子と酸素原子でつくられた天然触媒物質を使って水を分解することによってエネルギー(電子とプロトン)を獲得している。光合成反応には、三つの未解明の重要な反応が存在する。一つは、導管から吸い上げた水を葉緑体内で分解する触媒反応である。本研究では、既に先駆けて人工の二酸化マンガン触媒が同位体水(H_2^<18>O)を分解して同位体酸素^<18>O_2が発生する事を確認している。二つ目の重要な反応は、水分解の結果、生じた電子やプロトンが葉緑体内を伝導し、触媒物質から後段の組織(チロシン蛋白とP680色素)にスムーズに渡る反応である。このため、人工触媒自体に電子やプロトンの伝導性が求められる。研究最終年度であった平成23年度は、二酸化マンガンのプロトン伝導性が結晶構造毎に異なる事を明らかにした。その結果、ラムズデライト型の結晶構造を高純度に有した二酸化マンガンを使えばプロトン伝導性が室温下でも生じることが明らかになり、従来技術では不可能であった高濃度対応型の水素ガスセンサの電解質を実現し、その電気化学的特性を学会発表および海外学術誌において報告した。前述の水分解能と併せてこのプロトン伝導性は、二酸化マンガン微粒子の表面に貴金属ナノ粒子が高密度に析出する現象を説明した。この成果は天然ガスから水素ガスを直接変換によって製造する新規な触媒材料を合成する分野への応用にも道を開いた。すなわち、200~500℃の常温域で作動する燃料電池触媒として本研究の二酸化マンガンベースの触媒材料が有望であることを明らかにし、成果を特許出願および学会発表した。 さらに本研究では、光合成反応の三つめの重要反応である二酸化炭素を有機物へ変換する反応に関して、水起源の電気エネルギーで帯電した二酸化マンガン微粒子表面が、二酸化炭素由来の炭酸水素イオンを乳酸、ギ酸や酢酸などの有機酸に変換する反応を見出し特許出願に至っている。今後、同変換反応効率を向上させるための研究活動を継続する。
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Research Products
(15 results)