2011 Fiscal Year Annual Research Report
精密サイズ制御に基づく超高活性金属クラスター触媒の創生
Project/Area Number |
21560801
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
奥村 和 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (30294341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 幹 名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (10023334)
片田 直伸 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (00243379)
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Keywords | USYゼオライト / パラジウム / 金 / ブレンステッド酸点 / アルカンクラッキング |
Research Abstract |
パラジウムをUSYゼオライトに担持した触媒(Pd/USY)ではσ-キシレンを溶媒とすることで、原子状に高分散したパラジウムが生成し、これが鈴木カップリングに高活性を示すことを見出してきた。本年度はこのPd/USY触媒の実用化検討をおこなった。その結果、チオフェン誘導体を基質としたカップリング反応に高活性を示すことを見出し、有機半導体合成の可能性があることが分かった。鈴木カップリングにおけるパラジウムの溶出やホモカップリング反応への選択性についても検討した。その結果、溶媒としてσ-キシレンを使用することで、パラジウムの溶出を完全に抑制できること、Pd/USYではPd/活性炭や酢酸パラジウムに比べ、ホモカップリング反応への選択性が低く、副生成物の生成が抑制されることを見出した。また、パラジウムの担体であるUSYゼオライトの酸性質を詳細に調べ、約150kJmol^<-1>という、非常に強いブレンステッド酸点が存在していることを明らかにした。したがって、強いブレンステッド酸点上に原子状のパラジウムが安定化され、保持されることがわかった。さらにこのブレンステッド酸強度とアルカンのクラッキングでの活性化エネルギーに相関があり、USYゼオライトのクラッキング活性はブレンステッド酸性質で理解できることを示した。さらにその過程で、直径約30nmのUSYゼオライトが形成されることを見出した。さらに金をさまざまなY型ゼオライトに担持し、水素中における構造を解析した。その結果、酸強度の強いY型ゼオライトほど金がよく分散すること・300℃以上の高温で金が高分散すること・水素の存在が必須であることを見出し、直径約1.8nmの金ナノ粒子を調製することに成功した。金は塩化金酸を前駆体としてアンモニウム型のY型ゼオライトを担体とした場合に容易に担持することや量論関係などから、塩化金酸の塩化物イオンとアンモニウムイオンが反応することで、金がY型ゼオライトに担持されることを明らかにした。この金粒子のサイズとフェニルボロン酸のホモカップリング反応活性には相関性が見られた。
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