2010 Fiscal Year Annual Research Report
培養皿の培養面に塗布した機能物質による多能性幹細胞(ES・iPS細胞)の分化制御
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21560809
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
黒澤 尋 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (10225295)
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Keywords | 再生医学 / 細胞・組織 / 発生・分化 / 生体材料 / 表面・界面物性 / ES細胞 / リン脂質ポリマー / 胚様体 |
Research Abstract |
本研究では、培養面及び機能物質が全く関与しない系として、懸滴内での胚様体(EB)形成を種々の条件下で行った。すなわち、液滴量と初期細胞播種密度を種々組み合わせた条件を設定し、そのEBへの影響を「単位体積当たりの気液界面積」という視点で系統的な解析を試みた。 EBの大きさ(形成3日目)に関して、同じ初期播種細胞数においては、気液界面積の違いによる影響は見られなかった。しかし、内中胚葉への分化傾向は、同じ初期播種細胞数においても気液界面積による違いが現れた。これよりEB形成段階の初期条件がES細胞の分化に影響を与えることが強く示唆された。 3日間形成されたEBでは、初期播種細胞数が同じであれば形態的には同じEBができる。しかしながら、懸滴量が異なることによってES細胞の分化傾向に違いが生じた。その要因として、細胞密度が酸素供給や栄養供給への影響が考えられた。したがって、機能物質の真の影響を明らかにするには、初期条件の統一が必要であることが示唆された。 次に、機能性物質を添加して、その影響を調べた。機能性ポリマー10種類を0.1%(w/v)含むEB形成培地を用い、丸底96-well plateにてEB形成を行った。その結果、添加したポリマーの種類に関わらず細胞は同様に伸展したため、ポリマー添加による影響は確認できなかった。以上の結果より、ES細胞の分化指向性は、機能性ポリマーからの影響よりも細胞密度や培地の条件によって、より強く影響を受けることが阻らかとなった。
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Research Products
(3 results)