2010 Fiscal Year Annual Research Report
がん治療を目指した新しい複合リポソームワクチンの開発
Project/Area Number |
21560813
|
Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
後藤 浩一 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (30279377)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上岡 龍一 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (70099076)
|
Keywords | 免疫学 / 癌 / リポソーム / ワクチン / T細胞 |
Research Abstract |
本研究では、上皮性がん細胞に分泌されるムチンMUC-1のオリゴペプチドを腫瘍抗原とし、また、膜タンパクB7-1をT細胞の活性化シグナル分子として複合リポソーム(ハイブリッドリポソーム)に組み込んだリポソームワクチンの創製を目的とした。B7-1膜タンパクについては、マウスBリンパ腫瘍細胞より得られたmB7-1cDNAを用い、組換えタンパク質として調製した。mB7-1cDNAを市販の発現用プラスミドpcDNA3.1/Hygro(+)にライゲーションした組換えプラスミドpcDNA3.1/Hygro(+)/mB7-1を調製し、シーケンス解析の結果、目的のmB7-1の配列が確認できた。次に、pcDNA3.1/Hygro(+)/mB7-1をタンパク質発現用のチャイニーズハムスター卵巣由来細胞にリポフェクション法によりトランスフェクションし、mB7-1膜タンパクの発現をフローサイトメーターで観測したところ、発現率は数%であった。そこで、抗体を用いた磁気細胞分離法によりmB7-1発現細胞を分離し、発現率98%の細胞を得ることができた。本細胞の膜タンパク試料をアフィニティークロマトグラフィーとゲルろ過クロマトグラフィー処理することにより、純度の高いmB7-1組換えタンパク質を得ることができた。一方、ハイブリッドリポソームは、リン脂質(DMPC)とミセル系界面活性剤を用い、緩衝水溶液中でバス型超音波処理して調製した。動的光散乱法および電子顕微鏡観察より、DMPC単独リポソームと比べ、ハイブリッドリポソームは直径約100nmの均一で長期間安定な膜を形成することが明らかとなった。また、疎水性あるいは親水性の物質を含有できることが示され、ワクチン用のリポソームとして優れた物性を持つことが明らかになった。
|