2011 Fiscal Year Annual Research Report
がん治療を目指した新しい複合リポソームワクチンの開発
Project/Area Number |
21560813
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
後藤 浩一 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (30279377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上岡 龍一 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (70099076)
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Keywords | 免疫学 / 癌 / リポソーム / ワクチン / T細胞 |
Research Abstract |
本研究では、上皮性がん細胞に分泌されるムチンMUC-1のオリゴペプチドを腫瘍抗原とし、また、膜タンパクB7-1(CD80)をT細胞の活性化シグナル分子として複合リボソーム(ハイブリッドリポソーム)に組み込んだ新しいリポソームワクチンの創製を目的とした。ムチンMUC-1の抗原ペプチドは、T細胞がMHC非拘束的に認識可能なエピートプ配列APDTRPAと疎水性の長鎖アシル基を側鎖に有するリシンからなるペプチド誘導体をFmoc法により固相合成し、HPLCで精製して用いた。また、B7-1膜タンパクは、マウスBリンパ腫瘍細胞(A20細胞)より得られたmB7-1cDNAを導入した哺乳類細胞遺伝子発現用プラスミドを用い、チャイニーズハムスター卵巣由来細胞(CHO細胞)にトランスフェクションして発現した組換えタンパクをクロマトグラフィーで精製して用いた。ハイブリッドリポソームは、天然リン脂質(DMPC)とポリオキシエチレン系の非イオン性ミセル界面活性剤を水溶液中でバス型超音波処理し、さらに、MUC-1ペプチド誘導体とmB7-1組換えタンパクを加えて再度超音波処理して調製した。動的光散乱法より、MUC-1ペプチド誘導体とmB7-1組換えタンパクを組み込んだハイブリッドリポソームは、均一な膜を形成することが明らかとなった。また、免疫誘導実験として、ヒトMUC-1を外来性に発現しているマウス乳がん由来細胞(MM46-APR-MuC1 cl.1細胞)を腹腔内に播種したC3H/Heマウスを用い、ハイブリッドリポソームを皮下投与により接種したところ、毒性は見られず、新しいリポソームワクチンとしての可能性が示唆された。
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