2010 Fiscal Year Annual Research Report
壁面粗さの影響を考慮した境界層遷移予測の高精度化に関する研究
Project/Area Number |
21560820
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
淺井 雅人 首都大学東京, システムデザイン学部, 教授 (00117988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲澤 歩 首都大学東京, システムデザイン学部, 助教 (70404936)
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Keywords | 流れの安定性 / 乱流遷移 / 壁面粗さ / 境界層遷移 / 壁面せん断流 / トルミーン・シュリヒティング波動 |
Research Abstract |
本研究は、翼の層流化制御や境界層遷移の予測能力の向上に不可欠な、翼の製作上避けることができない微小な壁面粗さが乱流遷移に及ぼす効果の解明と、壁面粗さを考慮したより現実的な遷移予測手法の確立を目指した基礎研究である。本年度は、二次元的および三次元的に分布した正弦波状の微小壁面粗さが境界層遷移の始まりを支配するトルミーン・シュリヒティング波動(T-S波動)の増幅に及ぼす効果の違いを、零圧力勾配境界層を対象として実験的に調べた。 二次元波状壁においては、実験のすべての周波数の撹乱(T-S波動)の増幅率は滑面壁での値を上回り,かつ不安定領域は拡大し、境界層を不安定化することが示された。不安定化の促進は、壁面凹凸のごく近傍での速度分布の変化(変曲点型)によるものと考えられる。一方、同振幅の三次元波状壁上の境界層においては不安定化は促進されず、T-S波動の増幅・減衰特性は滑面の場合とほとんど変わらないことが見出された。 この結果は、翼の層流化を考える際の重要な知見を与えている。即ち、後退翼のように三次元境界層が発達する場合においてはわずかな表面粗さが横流れ不安定を励起するため遷移レイノルズ数に影響を与えるが、遷移がT-S波動の成長に支配される二次元境界層においては表面粗さに対する許容度は大きく、翼の層流化を現実化させる可能性を大いに示唆するものである。
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Research Products
(4 results)