2009 Fiscal Year Annual Research Report
海水分子運動を考慮した深海中の電磁波伝播特性とアンテナの最適化に関する基礎研究
Project/Area Number |
21560842
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 弘 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 海洋工学センター, グループリーダー (00359134)
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Keywords | 海水 / 微視的 / 電磁波 / 深海 / 伝搬特性 / 海中アンテナ |
Research Abstract |
入射電磁波に対する海水の微視的応答を観視するために机上実験装置を設計・製作した。まず予備段階として、海水のマクロ応答を計測する為に、測定用ループアンテナをハンドメイドし、所有のFRP水槽に海水を入れ、ネットワークアナライザをレンタルして、海水層単体ならびに海水に物体を挿入した場合の海水レスポンスについて計測した。その結果、海水状態の変化を想定したシステムで計測可能なことが確認できた。さらにFRP水槽では、一旦水槽外に放射された電磁波が再び水槽内に戻り受信アンテナに入力され(間接波)、海水を通過した直接波と間接波がコンパラとなり測定値に影響を与えることが判明し、微量変化の観測を精密に行う事が難しい事が分かった。そこで、計画にはなかった実験水槽の製作を新たに加えた。完全に電磁シールド可能な水槽を設計し、さらに被測定対象である海水とアンテナの間を空気や純水でバッファできるような構造とした。 この水槽用に計測用基準アンテナとしてダイポール型、ループ型アンテナを製作した。これらのアンテナは直接水中に設置するため、完全に絶縁を施した。これらのアンテナのマッチング調整と較正を実施した。 マクロな海水物理量(温度、伝導率、濁度等)を記録するためにCTD測定器と濁度計を用意し、これらのデータが自動計測が出来るような簡単なソフトウェアを製作した。なお、CTDと濁度計は所有のものを流用した。 一方、フィールドでの精密計測のため、整合損失を低減したアンテナ(アンテナと海水の間に誘電率と導電率をなめらかに変化できるようなバッファ領域を有する)を開発した。 本年度は、予備試験ならびに水槽の設計製作により、予定していた送受信装置の設計とシミュレーションの用意は実施できなかった。また、予備試験を含む物作りの1年だったため、成果の発信は実施しなかった。次年度早々に、製作したシステムでの実計測を開始する予定である。
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