2010 Fiscal Year Annual Research Report
海水分子運動を考慮した深海中の電磁波伝播特性とアンテナの最適化に関する基礎研究
Project/Area Number |
21560842
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 弘 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋工学センター, グループリーダー (00359134)
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Keywords | 海中 / 微視的 / 電磁波 / 深海 / 伝搬特性 / 海中アンテナ |
Research Abstract |
昨年度製作した、入射電磁波に対する海水の微視的応答を観測するための机上実験装置(ダイポール型、ループ型アンテナ、ファラデーシールド型水槽)の性能向上を把握する為、マッチング部品を再製作し、システムチューニングを、ネットワークアナライザを用いて実施した。また、完全に閉空間である水槽内を、海水もしくは水道水を満たした状態で伝搬特性を計測した。 一方で、微視的伝搬のシミュレーションの為に、想定している波長(短波帯)において、分子応答の簡単なモデルを想定し、誘電体応答を計算した。海水の応答による損失分を分極による物に限定し、分極の種別ごとに損失を求めた。その結果は、海水をマクロな導電物質として想定し、オーミック損失を計算した場合より損失が小さかった。計算結果をザックリと計測値に当てはめた場合、ニアフィールドでは減衰がオーミック損失的であるが、ファーフィールドでは分極によるものに近い傾向が見られた。これは、本研究を開始する前に参考にした論文が出している結論と似ている。一般に、我々は媒質のマクロなパラメータ(導電率、誘電率、透磁率)と波長により、媒質が導電的か誘電的かに振り分けて媒質中の電磁波の伝搬計算をする。扱っている波長は、海水にとっては導電的な場合と誘電的な場合の遷移領域と考えられる。このことから、いずれかの近似を取った場合、両者の値は整合しないということになる。本研究の目的はこの遷移領域で実際の減衰はどうなるのか?を解明することであるが、本年度の研究成果ではそこまでの結論が出せていない。最終年度には、製作したシステムを更にチューニングし、より信憑性のあるデータを取得し、また実海域での試験を行う事で、理論と実験値の整合を行い、短波帯の海中伝搬特性を明らかにする予定である。
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Research Products
(1 results)