2011 Fiscal Year Annual Research Report
海水分子運動を考慮した深海中の電磁波伝播特性とアンテナの最適化に関する基礎研究
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21560842
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 弘 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋工学センター, グループリーダー (00359134)
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Keywords | 海中アンテナ / 水中アンテナ / 海中伝搬 / 海水分子 |
Research Abstract |
前年度までに製作した机上実験装置(ファラデーシールド型水槽)の改良型を用いて、ネットワークアナライザにより伝搬計測を実施した。水槽(1000mmx400mmx400mm)は、長手方向に3つのレイヤ(アンテナレイヤ x 2、伝搬レイヤ)に分かれ、それぞれ異なる媒質を入れられるようになっている。それぞれのレイヤの媒質の組合せを空気、疑似海水、水道水とした時の伝搬特性(周波数特性: 1~50MHz)を計測した。媒質が水の場合の遮断周波数は約40MHzである。 その結果、アンテナレイヤを水道水、伝搬レイヤを密度1.030の疑似海水で満たした時に、電磁波が伝搬レイヤを若干の損失を伴い透過することを観測した。伝搬レイヤは500mmの長さがあるため、マクロな電磁気学で考えるとこの周波数帯の電磁波は大きく減衰する。なお、アンテナレイヤも海水で満たした場合は、電磁波の透過は観測レベル以下であった(アンテナは絶縁されている)。この観測された現象は驚くべき結果である。 これまでに考えた、分子応答の簡単なモデルを用いて、短波長電磁波(HF波)の透過メカニズムを検討した。海水はNaイオンとClイオンを、若干分極しているH2O分子でそれぞれ囲むクラスター構造をしてる。この弱いクラスター結合は、電場をかけると分解されイオンが移動することになる。電場・磁場のエネルギーが直接作用するラジアン球(λ/2π)の内側では、クラスターは崩されやすく、したがってイオンの振動にエネルギーが吸収され損失が大きくなる。一方ファーフィールドではクラスターが壊されずにH2O分子のみが励起されるため損失が小さいと考えられる。 期間内ではモデルによるシミュレーションと実海域での再現試験まで到達できなかったが、本研究で開発したツールを用いて今後も研究を継続し、新たな海中通信装置の応用まで漕ぎ着けたい。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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