2010 Fiscal Year Annual Research Report
輝尽性蛍光体中に深く捕獲された電子を利用したワイドダイナミックレンジ線量計の開発
Project/Area Number |
21560867
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 浩子 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (10241522)
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Keywords | 輝尽性蛍光体 / 放射線・X線・粒子線 / イメージングプレート / 固体物理 / 固体検出器 / 消去不全光 / ワイドダイナミックレンジ |
Research Abstract |
BaFBr(I):Eu2+輝尽性蛍光体では、ミリグレイ以上の比較的高い線量のX線を照射した試料や繰り返し使用した試料に、白色可視光を長時間照射しても、潜像が消去されずに600nm近傍の励起光で読み出されてくる現象(以下「消去不全現象」といい、観察される光を「消去不全光」という)が生じる。 これらの試料では、従来の読み取りに用いられている600nm付近の電子以外に短波長側の深い準位に捕獲された電子が存在し、これが消去不全光の原因となっていると考えられる。本研究の目的は、これらの電子を利用することで、大線量側にダイナミックレンジを数桁拡大した線量計として開発することである。これまでの研究で、消去不全光がPSL(輝尽発光,Photo-Stimulated Luminescence)であることを検証したうえで、蛍光体中に深く捕獲された電子及びその励起-PSL発光モデルの考案を行なった。短波長側の準位に捕獲されている電子を利用するためには、どの準位(波長)に捕獲されているのかを正確に特定する必要がある。本年度はいく種類かの汎用プレートにおける短波長領域電子捕獲準位の特定と.その励起について検討した。 UV光を分光して消去不全光を生じている蛍光体試料を励起することにより、波長の特定を行った。BaFBr組成蛍光体の汎用されている代表的な3種Agfa,Kodak及びFujiについて調べた結果、Agfa,Kodakではいずれも324nmに、またFujiでは320nmに大きなピークをもつことが示された。これ以外に、Agfaでは、345,375及び420nmに、また、Kodakでは345nmに、Fujiでは345,380nmに小さなピークをもつ。さらに、いずれのプレートにおいても、それぞれの波長のピークの大きさは照射線量に依存していることがわかった。これらの電子は、UV光を光源として各波長の干渉フィルターを用いて固有の波長で選択的に励起後、630nmのレーザーで読み出せることがわかった。
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Research Products
(4 results)