2011 Fiscal Year Annual Research Report
格子間原子集合体の一次元運動の実験的検証に基づいた照射欠陥蓄積モデルの改良
Project/Area Number |
21560868
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 裕樹 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20211948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 弘亨 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (40343925)
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Keywords | 原子力エネルギー / 格子欠陥 / 照射損傷 / 透過電子顕微鏡 / その場観察 / 計算機シミュレーション |
Research Abstract |
格子間原子集合体の一次元(1D)運動過程は高エネルギー粒子照射された材料の組織変化に多大な影響を与えている可能性が指摘されているが,その詳細は解明されていない。本研究課題では、超高圧電子顕微鏡による電子照射下その場観察法と計算機シミュレーションを相補的に組み合わせることにより、実用鋼を含む種々の合金における1D運動の基礎過程を解明することを目的としている。この最終年度は、高温における1D運動の理解とモデル化のために,熱処理が1D運動に与える影響を調査し以下の結果を得た. 市販のSUS316L鋼と,高純度母材を用いて作製した数種のモデル合金について,a)室温での電子照射により格子間原子集合体を導入し,b)電子ビームをoffにした状態で20分間の熱処理(室温~400℃)を行った.さらにc)熱処理を施した集合体に室温で電子照射を行い,その1D運動を観察した.SUS316L鋼と侵入型元素の炭素または酸素を数10wt.ppm以上含むモデル合金では、100℃以上の熱処理により1D運動が著しく抑制された.一方、侵入型元素を低減させた高純度モデル合金では,熱処理効果は認められなかった.熱処理中に侵入型元素が格子間原子集合体に偏析することにより1D運動を阻害したものと考えられる. 点欠陥や溶質原子の熱的な拡散が顕著に生じる高温においては特に侵入型元素の偏析効果により,1D運動が抑制され得ることが明らかとなった.これらは実用合金の高温における1D運動挙動を理解する上で重要な知見である。
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Research Products
(6 results)