2009 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギーサムγ線分光法による原子核の高エネルギー励起準位の解明
Project/Area Number |
21560871
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 理尋 Nagoya University, アイソトープ総合センター, 教授 (30262885)
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Keywords | 崩壊核データ / エネルギーサムγ線分光 / オンライン同位体分離 / 不安定核 / 励起構造 |
Research Abstract |
β壊変の安定線から離れた原子核の崩壊核データ測定において、大型単結晶の中心に貫通孔を持ち高い幾何学的立体角と高検出効率を有する特殊なHPGe検出器を用いて、カスケード関係にあるγ線をクロスオーバー遷移(サムピーク)として検出し高エネルギーの励起準位を明らかする手法(エネルギーサムγ線分光法)を開発するとともに、従来見落とされていた高エネルギー励起準位へのβ遷移強度を実験的に決定する手法を、測定とモンテカルロシミュレーションを併用して検証することを目指している。 本年度は、次年度以降の原子炉等を用いた核分裂生成物を対象とする実験に向けて、予備実験を行った。半減期の長い標準線源^<152,154>Euおよび^<56>Co等を利用し貫通孔型HPGe検出器の内部と外部での測定スペクトルを比較することで、どの程度のβ分岐比を持つ準位まで確認できるかをチェックした。特に^<56>Coは高エネルギーのγ線を放出する半減期が長い核種であり、購入して適切な測定試料を作成して測定した。また、電子回路を購入しカスケードの上下関係を調べるためにもう1台のHPGe検出器との同時計数測定を行い、データ収集のための適切な設定を確認した。 その結果、崩壊図式に依存するものの1%以下のβ分岐を持つ4MeV程度の準位まで確認できることがわかった。また、^<154>Euはかなり詳細な準位図式がわかっているにもかかわらずその中には未だ確証のない準位も存在しているが、それらの内、準位として判明できたものもある。以上のことから本手法の有効性が実証でき、次年度に行う短半減期の不安定核に適用できることがわかった。
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