2010 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギーサムγ線分光法による原子核の高エネルギー励起準位の解明
Project/Area Number |
21560871
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 理尋 名古屋大学, アイソトープ総合センター, 教授 (30262885)
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Keywords | 崩壊核データ / エネルギーサムγ線分光 / オンライン同位体分離 / 不安定核 / 励起構造 |
Research Abstract |
β壊変の安定線から離れた原子核の崩壊核データ測定において、大型単結晶の中心に貫通孔を持ち高い幾何学的立体角と高検出効率を有する特殊なHPGe検出器(貫通型Ge検出器およびクローバー検出器)を用いて、カスケード関係にあるγ線をクロスオーバー遷移(サムピーク)として検出して高エネルギーの励起準位を明らかする手法(エネルギーサムγ線分光法)を開発するとともに、従来見落とされていた高エネルギー励起準位へのβ遷移強度を実験的に決定する手法の開発に向けて、測定とモンテカルロシミュレーションを併用して検証することを目指している。 本年度は、京都大学原子炉に附置したオンライン同位体分離装置に検出器を設置し、核分裂生成物である^<147,148>Laの崩壊γ線を測定した。貫通型Ge検出器のサムピークの解析から^<147>Laの娘核^<147>Ceは、1MeV程度までしか報告がなかった励起準位に対し3MeV程度までの励起準位を確認し、その準位にβ遷移が存在することがわかった。また、同時計数とシングルス測定の両方の結果からカスケード関係を明らかにし崩壊図式を決めることができることもわかった。一方、クローバー検出器の検出器中央部における検出効率をモンテカルロシミュレーションを用いて10%程度の精度で決められる可能性が得られた。このことから、従来収率の小さい核種では複数回の実験を行わなければならなかったのに対し、クローバー検出器を用いれば1回の実験で詳細な崩壊核データを測定できる見通しを得た。
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