2011 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギーサムγ線分光法による原子核の高エネルギー励起準位の解明
Project/Area Number |
21560871
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 理尋 名古屋大学, アイソトープ総合センター, 教授 (30262885)
|
Keywords | 崩壊核データ / エネルギーサムγ線分光 / オンライン同位体分離 / 不安定核 / 励起構造 |
Research Abstract |
β壊変する安定線から離れた原子核の崩壊核データ測定において、高い幾何学的立体角と高検出効率を有する特殊な貫通型Ge検出器およびクローバー検出器を用いて、カスケード関係にあるγ線をクロスオーバーγ線あるいはコインシデンスサムピークとして検出して高エネルギーの励起準位を明らかするエネルギーサムγ線分光法と、特にクローバー検出器に対してγ線強度を精度良く決定することによって高エネルギー励起準位へのβ遷移強度を実験的に決定するためのコインシデンスサム補正法を開発した。 単色γ線源(^<203>Hg、^<137>Cs、^<56>Mh)とモンテカルロシミュレーションGEANT4を併用しクローバー検出器の検出効率を決定した。複雑な崩壊図式をもつ核種に対してはコインシデンスサムの補正が必要となる。それについては、決定した検出効率に標準線源^<133>Ba、^<152>Eu、^<56>Coの崩壊図式の情報を入れてコインシデンスサムの有無のピークカウントをシミュレーション計算し、その比から補正係数によって実測値を補正した。その結果、相対強度0.1%のγ線まで考慮すれば、100keVから3MeVの範囲に渡って10%程度で単色γ線源とモンテカルロシミュレーションで作成した検出効率上に一致することを確認した。このことから、相対強度0.1%のγ線とその励起準位を含む崩壊図式を作成すれば、5%の精度でγ線強度が決定できることがわかった。 一方、京都大学原子炉に附置したオンライン同位体分離装置に検出器を設置し、^<235>Uの核分裂生成物^<147>Laの崩壊γ線を測定した。両検出器によるエネルギーサムγ線分光の解析から、娘核^<147>Ceについて1MeVまでしか報告がなかった崩壊図式に対し3.5MeVまで新たに56個の励起準位と160本のγ線を同定し、その準位にβ遷移が存在することを明らかにした。
|