2009 Fiscal Year Annual Research Report
無機塩・炭素系複合収着材を適用する高エネルギー密度の水蒸気収着冷凍機の開発
Project/Area Number |
21560880
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
汲田 幹夫 Kanazawa University, 自然システム学系, 准教授 (60262557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 昭雄 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (30274690)
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Keywords | 省エネルギー / 吸着冷凍機 / 金属塩添着 / 活性炭素繊維 / 水蒸気収着 |
Research Abstract |
吸着冷凍機の開発課題のひとつである冷熱出力密度の向上には,吸着熱交換器に充填する固体吸着材への冷媒蒸気吸着密度の増大が不可欠である。本研究では,高密度の活性炭素繊維成形体(HDACF : High-Density Activated Carbon Fiber)に,蒸発潜熱の大きな水冷媒への活性を付与した無機塩複合収着材を調製し,これを吸着熱交換器に組み込むことで課題解決を目指すものである。今年度は,フェノール樹脂繊維を原料とするHDACFの製造,水との反応性に富む塩化ルシウムCaCl_2とHDACFの複合化とその水蒸気収着特性について検討を行い,次の知見を得た。1)圧縮加熱,炭化,ガス賦活の逐次操作により,見掛け密度0.40~1.05kg/m^3のHDACFが製造でき,圧縮荷重により変化する見掛け密度と比表面積は互いにトレードオフの関係にある。2)含浸法により容易にHDACFへのCaCl_2添着が可能となり,疎水性表面を有するHDACFでは,添着液にCaCl_2の水溶液よりメタノール溶液を用いる方が効果的であり,CaCl_2添着量の増大には,添着液を常にCaCl_2の飽和状態に保持することが重要である。3)HDACFの見掛け密度とCaCl_2添着量の間には相関関係があり,より高密度のHDACFでは一次繊維間の間隙が狭くなるために,添着液の内部浸透が阻害されてCaCl_2添着量の減少に繋がる。なお,本研究では最大でCaCl_2添着量40wt%の複合化HDACFが調製できた。4)複合化HDACFでは,CaCl_2添着量の増大に伴い水蒸気収着量が増加する傾向にあり,CaCl_2含有量に見合った量の水分子が水和反応により複合材に収着すると推測される。また,CaCl_2添着量が27wt%を超える複合化HDACFの水蒸気収着量は,市販シリカゲルのそれを上回ることが実証され,本研究で調製した複合材が高出力密度の収着冷凍機用蓄水材になり得ると考えられる。
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