2011 Fiscal Year Annual Research Report
電解還元法を用いたナノ構造を有する新規マンガン系蓄電材料の作製
Project/Area Number |
21560885
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
片倉 勝己 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (80169466)
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Keywords | Mn/Al LDH / LDH薄膜 / 電解還元沈降法 / 電気化学沈降水酸化マンガン |
Research Abstract |
電気化学沈降法によって合成した水酸化マンガンへの水溶液中での電気化学的アルカリ金属の挿入反応と電気化学沈降法による水酸化マンガン合成におよぼす異種金属の共存効果について検討した。挿入種として、リチウム、カリウム、ナトリウムの各イオンを比較したところ、リチウムが0V(Vs Hg/HgO)よりやや貴な電位において、酸化電気量に比例して導入されるのに対し、カリウムやナトリウムでは電気化学的な挿入を確認することはできなかった。なお、酸化初期段階においてリチウムの挿入が抑制されていることから、マンガンの酸化にともなう結晶構造変化がリチウム挿入プロセスに大きく関わっていることが予想された。一方、サイクル特性は低いもののイオン種に関係なく可逆的な酸化還元ピーク対が認められ、酸化還元電流が,水酸化物イオンの挿入脱離を伴うマンガンの酸化還元に起因しているものと推定された。一方、硝酸マンガンと硝酸アルミニウムの混合液から、電気化学的沈降法によってMn/Al LDHと推定される薄膜の電極基板上へのワンステップ合成に成功した。Mn/Al LDHの合成報告は少なく、本法によって均一なLDH薄膜をマイルドな条件の下で電極基板上に形成できたことは大きな成果である。なお、生成したLDHのAl/Mh比はこれまでの報告例に比べて大きく、その構造や組成に関する詳細な検討が必要であることがわかった。また、Mn/Al LDHのアルカリ電解質水溶液中での電気化学的挙動を調べたところ、水酸化カリウム水溶液中では、0V(vsHg/HgO)付近に、マンガンの2-3価の酸化数変化に起因すると推定される極めて可逆性の良いレドックス電流ピーク対を安定的に示すことが確認された。このレドックス反応には水酸化物イオンが関与しているものと推定されたが、反応中、Alの消失とともにバーネサイト系酸化物への結晶構造変化が認めら、LDH構造が崩壊した可能性が示唆された。しかしながら、Mn/Al LDHは二次電池正極だけでなく新規材料として期待できる。現在、成果を学会誌に投稿し審査を受審中である。
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Research Products
(3 results)