2009 Fiscal Year Annual Research Report
魚類における再生を支える細胞とシグナルのメカニズム
Project/Area Number |
21570004
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川上 厚志 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 准教授 (00221896)
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Keywords | 再生 / 組織ホメオスタシス / シグナル伝達 / 小型魚類 / ゼブラフィッシュ / Junb |
Research Abstract |
多細胞生物の体で、膨大な数の細胞が一定の大きさと形を形成するには、組織ホメオスタシスと呼ぶ統御メカニズムが必要である。このメカニズムは、生物体組織を維持するだけではなく、細胞のターンオーバーや傷害時の組織修復や再生にも関わっていると考えられる。しかし、このメカニズムは、未だにほとんど理解が進んでいない。 本研究は、今年度、再生に関わるシグナル経路の作用機序を明らかにすることを一つ目の目標とした。特に、私達はJunbファミリー分子の関与するシグナルに注目して研究を進め、ほ乳類のJunbタンパクがリン酸化部位を欠失しているのに対し、魚類では2つ存在するJunbとJunb-likeのいずれも、リン酸化されることを示した。このリン酸化は組織の傷害に応答して起こり、組織の修復や再生にJunbファミリー分子のリン酸化が必須であることを解明した。これによって、ほ乳類などに比べて高い魚類の組織惨復能力を支える分子的な違いの一つが解明できた。 第二に、私達は以前の研究で、再生組織が多数の細胞小区図(コンパートメント)からなることを示したが、これらの細胞がどのように組織再生過程に働いているか明らかにするためには、個々の細胞を追跡するような方法が必要となる。このために、Cre-lox組み換えを用いた細胞トレーシングのためのトランスジェニック系統を本年度作製した。生涯を通じてユビキタスに蛍光タンパクを発現ずる系統の作製に世界で初めて成功し、目的の細胞トレーシングシステムへの道を開いた。 第三に、本年度の研究では、細胞細胞の性質を明らかにするために、私達が見いだした、再生細胞が維持できないゼブラフィッシュ変異体の解析を進めた。本年度の研究では、再生芽細胞のアポトーシスは、細胞死経路としてよく知られたp53非依存に起こることを示した。再生のような急速な増殖をする細胞では、別の細胞周期と細胞死の制御メカニズムがあることが予想され、このような経路は細胞の増殖や死を伴うヒト疾患と関わる可能性が考えられる。
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[Journal Article] Epigenetic control mechanism of cardiomyocyte production in response to a stress during the medaka heart development.2010
Author(s)
Taneda, Y., Konno, S., Makino, S., Fukuda, K., Imai, Y., Kudo, A., Kawakami, A.
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Journal Title
Developmental Biology 340
Pages: 30-40
Peer Reviewed
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