2010 Fiscal Year Annual Research Report
二種のモデル基部植物を用いた植物概日システムの起源解明
Project/Area Number |
21570005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
青木 摂之 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (30283469)
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Keywords | 進化遺伝 / 生物時計 / 生物リズム / 基部植物 / ヒメツリガネゴケ |
Research Abstract |
当該年度において次の研究成果を得た。 1) コケPseudo-Response Regulator(PRR)ホモログ蛋白質の機能の生化学的解析 一昨年度の予備実験の結果を受け、コケのPRRホモログ遺伝子のうち、PpPRR1とPpPRR2について、In vitroのリン酸転移アッセイを行った。その結果、PpPRR2のみがリン酸転移機能を持つことを明らかにした。 2) コケのPRR-CCA1コアループの同定 コケのCCA1(Circadian clock associated 1)ホモログ、PpCCA1aとPpCCA1bを破壊した形質転換株において、4つあるPpPRR遺伝子の発現を調べ、明期前半においてすべてのPpPRRの転写レベルが上昇することを確認した。一方で、1)PpPRR遺伝子の上流にはCCA1結合配列(CCA1-binding site)が有意に高い確率でみつかる;2)、PpCCA1aと、PpCCA1bの破壊株においては概日時計の周期異常を確認済みである;これらのことから、シロイヌナズナと同様に、コケにおいてもPRR-CCA1制御ループが存在し、かつ時計の仕組みにおいて重要な制御能を持つことが示唆された。 3) シロイヌナズナにおけるコケPRRの異種発現 コケのPpPRR2 cDNAを強発現プロモーターの制御下に置き、野生型シロイヌナズナに導入し、過剰発現を行った。その結果、時計遺伝子のひとつCCA1の周期発現において周期や花成時期が異常となる表現型がみられた。このことから、系統的に非常に隔たるシロイヌナズナとコケとの間で、PRR蛋白質の機能が保存されていることが明らかとなった。 以上の結果を受けて、コケPRRホモログのリン酸化に関与するヒスチジンキナーゼの探索を開始し、ドメイン構造や発現パターンからその候補を絞りつつある。
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